戦力外国会議員に反対演説をさせる無意味さ(維新を「ゆ」党と呼ぶのももう止めよう?)

 7月20日の衆議院本会議で,安倍内閣の不信任決議案は,例によって否決されました。

 毎度の国会で「内閣不信任案提出→否決」というのが,もはや儀式化してしまった感じもあります。しかし,毎回の「内閣不信任案提出→否決」が儀式化されていない,つまり「内閣不信任の理由」と「内閣不信任案への反対の理由」がしっかり(論理的に)述べられているかについては,関心を持つ意義はあるでしょう。

 その点において,自由民主党の金田勝年、公明党の伊藤渉2名の反対演説は,与党が都合よく持ち出してくる「与野党対立構造への批判」が表向きのものでしかないことをよく表しています。
 2名は「内閣不信任案への反対の理由」を論理的に述べることができないどころか,野党批判に終始し,そもそもの問題である現時点で「内閣を信任しないに値するかどうか」という点について,まったく述べることができていなかったのです。これでは,単に結論ありきで,適当(思いつくまま)に適当な(聞こえのよい)言葉を並べ立てているようにしか見えません。
 理由らしい理由として挙げられるのは,野党への対抗心とでも呼ぶべき,与党にまつろわぬ野党が騒ぎ立てて国会を混乱させて政治の潤滑な運営を妨げているという野党批判ではありますが,それこそが「与野党対立」の構図でしか物事を認識できていないことのあらわれです。
(「シンパ」には,それで十分なのでしょうが,国会は「おともだち」会ではない)

 さて,今回の内閣不信任案においては,日本維新の会の浦野靖人が反対の立場から演説していました。しかし,この約6分間は,「浦野靖人は演説下手である」ということと「日本維新の会は,与野党対立構造の中で野党を攻撃することに自党のアイデンティティを見出すこと」を明らかにするものとなりました。

 野党が毎度毎度国会会期末に提出して国会を混乱させていると言いますが,毎度毎度の国会が,まるで何の問題もなく進んできたと考えていることのほうが驚きです。政権・与党が国会会期末に駆け込みで法案を成立させようとするために,国会が十分に混乱することによって,毎度毎度国会会期末に内閣不信任案が出てくるのではないかという視点は,そこにまったくないわけですな。


 また,申し訳程度に,政府与党も「胸を張れない」と言って,自分たちの「野党性」をアピールするのも姑息な手段です。最後に「政治は0か100かではない」と言っておきながら,内閣不信任案反対で「100」の側に付いてしまうという矛盾は,もはや言うに及ばずのレベルでしょうか(「0か100かでない」のなら,国会議員個人に判断を任せればよいのに,党として「反対」を述べることがそもそも「0か100か」ですな)。

 「政治は0か100かではない」というのは,「~は0か100かではない」という形でよく聞くものです(7月21日のTV番組でも遙洋子が言っていた)。
 しかし,これを述べる人が「0か100か」を否定しているかというと,まったくそういうことはなく,その人こそが「0か100か」を信奉し,「自分を全肯定する人(100)」か「それ以外(0)」かで他人を区分けしているだけにすぎないのです。


 まあそもそも,与野党を比較して安倍内閣のほうがましだから内閣不信任案反対というのは,反対(すなわち内閣に対する信任)の根拠にまったくなっていないわけです。安倍内閣が駄目なら,与党の中で政権を交替させるという選択肢があってもよいはずなのに,与野党対立の中でしか物事を捉えていないから,「安倍内閣が“野党と比較してまし”だから安倍内閣不信任案に反対」という愚論が出てくるわけです。

 そして,浦野の演説の下手さが,この維新のだめっぷりに拍車をかけています。そもそも,なぜ演説に向かない浦野に演説をさせたのかが疑問です。政権政党とは一線を画すという存在感を示したければ,馬場氏や下地氏に演説をさせるほうが,聞き手に言葉を響かせることができたでしょうに,まるで演説の練習(消化試合)とばかりに浦野を出すあたり,この演説を重視していないことが見て取れるわけですな。
 それにしても,浦野の演説が下手すぎたために,維新は与党とも主流野党とも違う政党としての存在感を示すどころか,与党にへばり付く周辺勢力としての存在感を示してしまいました。まさか希望の党と,安倍政権に対する忠誠心争いをしているわけでもないでしょうに。

 今回の対応を見て,やはり維新は「ゆ党」だということになりそうですが,浦野の演説を聞いてしまうと,維新はもはや「ゆ」でもないということになりそうです。
 与党と共に歩むことしかできないのに,「万年与党候補」でいるほうが自党にとって有利だから,与党に入らないだけのことであるかのようです。
 しかし,そうなってしまうと,それこそ維新の党利党略であり,他党の戦略を「党利党略」と批判しても,「ブーメラン」となって自分に返ってくるだけになるのです。

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