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zoom RSS 日本語表現に執着するのは内向きの発想

<<   作成日時 : 2014/11/13 16:14   >>

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 10日に安倍首相と習国家主席とが会って話をしたということです。
 7日に合意が交わされ,両首脳が会う前に発表されたことにより,直前にキャンセルされる可能性もあると見ていましたが,結局会って話をしたということ,また,中共が当初条件としていた「安倍首相の靖国不参拝の確約」と「尖閣に関する領土問題存在の確認」を合意文書にそのまま盛り込むことを避けられたという点では,中共側に「(多少なりとも)譲歩があった」と見ることができるでしょう。


 では日本側に譲歩はあったのでしょうか。
 coffeeは前者について「【(2)歴史を直視し未来に向かう精神に従い、政治的困難の克服で若干の一致】が「明らかに安倍首相の参拝を束縛したものだ」と主張している。」として「勝手な解釈ではあるが、「歴史を直視し…政治的困難の克服」などと、誤解を生ぜしめる表現にした日本も悪い。」と書いています。
 また,後者については「日本は一貫して「尖閣諸島には領有権問題は存在しない」との立場を貫いてきたが、残念ながら安倍政権が初めて日本政府の立場を大きく後退させ、取り返しのつかないほど支那に譲歩してしまった。」としています。

 さて,問題となるのは,この合意が何語で為されたのかです。日本政府・日本語を母語とする人は日本語だと思い込み,中共中央・中国語を母語とする人は中国語(普通話)だと思い込んでいるようですが,英語版すら2種類(日本語→英語,中国語→英語)存在することから考えると,日本側が日本語で,中共側が中国語で理解したようなのです。
 そうなると,日本語版でどのような文章を書こうと,それで納得させられるのは一部の日本語を理解する人だけです。それはそれで必要な要素ですが,国際的な約束事として考えると,さらに重要なのは内容が相手にどう解釈されているかということになります。


 まず歴史認識について,日本語版で「歴史を直視し」となっている部分,中国語版は“正视历史”となっています。中国語の“正视”を日本語で「直視」と訳すること自体は自然なことですが,中共の政府文書で“正视历史”が出てきた時は曲者で,普通に想像される「歴史を直視する」とは意味合いが異なります。
 この場合は「中共中央が事実と認めている歴史事実を直視すること」と解釈されるので,「政府首脳の靖国神社参拝=A級戦犯の崇拝=日中戦争(15年戦争)の正当化」という中共の解釈を(程度はどうあれ)認めることを意味するのであります。
 そうなれば,合意の中に「歴史を直視し,未来に向かうという精神に従い,両国関係に影響する政治的困難を克服する」という文言が盛り込まれている以上,中共が「明らかに安倍首相の参拝を束縛したものだ」と解釈するのは当然の流れとなります。そして,それに基づいて今後行動することになるでしょう。
 当然の帰結として,今後安倍首相が靖国神社に参拝するようなことがあれば,合意違反として責められることになります。状況はこれまで以上に靖国神社参拝を困難にすることになるのですが,安倍はそれを十分考慮に入れていたでしょうか。


 次に尖閣諸島に関して,佐藤正久はTwitterで以下のように述べています。(https://twitter.com/SatoMasahisa/status/532088465366585344
日中合意文書につき外務省に確認。領土問題で譲歩したとの解説は間違い、「領土問題は存在しない」との日本政府の立場に変化なし。合意文書は、「近年、海域で、緊張状態が生じている」ことに異なる見解を有しているのであり、「領有権」について異なる見解を有している訳ではない。「近年」もミソ。

 佐藤は「日本政府の立場に変化なし」を強調して「領土問題で譲歩したとの解説は間違い」と言いたいようですが,単なる言葉遊びに巻き込まれて判断力を失い,外務省に丸め込まれてしまったに過ぎません。
 佐藤は「合意文書は、「近年、海域で、緊張状態が生じている」ことに異なる見解を有している」と書いています。確かに合意文書は「尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有している」となっていますが,問題は原因をどこに求めているかです。日本側は原因を明らかにしないことによって「「領有権」について異なる見解を有している訳ではない」と解釈したいようですが,中共側はその原因を「領有権」問題と認識していることは明白です。
 こうなると,合意において「異なる見解を有している」ことを認めておきながら「「領有権」について異なる見解を有している訳ではない。」と言ってみても,それで説得されるのは日本語を理解できて日本政府を支持する人だけであります。
 客観的に見た時に,日本政府が「中国側の領土問題が存在しているという主張を公式に認めた」という点では,これまでよりも一歩進んだ(譲歩した)と言わざるを得ないのです。
 また,「近年」で「1970年前後ではない」ということを言いたいのでしょうが,中共から見れば「尖閣国有化」などが念頭に入っているのですから,「領有権」問題は「近年」のことであるのは明らかで,何が「ミソ」なのかと言わざるを得ません。


 そもそも,日中友好を推進したい政府首脳が,靖国問題を解決することなしに靖国神社参拝を強行するというのは矛盾した態度なのであって,安倍はさしたる苦労なしに習と会談できると高をくくっていたのではないかと思わざるを得ません。

 安倍は中共から全くと言っていいほど信頼されていないのですが,それでも習と会談する必要があると考えているのは,おそらくアメリカが中共と接近しているからでしょう。
 中共は中共で,日本との関係が冷え込みすぎると経済的影響が大きくなるので,日本批判を自分たちにとって都合のよいレベルでとどめておいて,何とか首脳同士の対話を実現させておきたいという意図もあったでしょう。それゆえ,多少なりとも譲歩して「相手が“会见”したいと言ってくるので,しかたなく会ってやった」形を作ったのでしょう。


 今回の日中首脳会談(“会见”),実現に向けての流れはチキンレースとなったわけですが,やはり今回も中共側が「おいしいところを持っていった」形になってしまうのでしょうか
 これを日中関係修復の第一歩として評価するのは自由ですが,日本側は結構重い宿題を抱え込んだ形になっているのではないでしょうか。


余談
 そもそも尖閣諸島に領有権問題があるとする場合,その問題を議論する資格があるのはどの政体かという議論が必要になります。その意味でも日本は「領土(領有権)問題は存在しない」という立場を簡単に崩すことはできないはずなのですがね。


参考
正しい歴史認識、国益重視の外交、核武装の実現:安倍、尖閣諸島で大幅譲歩!領土問題の存在を事実上認める・己の晴れ舞台(首脳会談)のための売国
 http://deliciousicecoffee.blog28.fc2.com/blog-entry-5632.html

「日中関係の改善に向けた話合い」他関連文書
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page4_000789.html
 http://www.mofa.go.jp/a_o/c_m1/cn/page4e_000150.html
 http://www.gov.cn/guowuyuan/2014-11/07/content_2776154.htm
 http://english.gov.cn/state_council/state_councilors/2014/11/07/content_281475006820316.htm

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内 容 ニックネーム/日時
強盗が他人の物を「俺の物」だと嘘を吐いているのに、その嘘を「見解」などと表現して認めたのだから、譲歩(売国)以外の何ものでもない。

従来
「尖閣諸島は日本固有の領土であり、尖閣諸島に領有権問題は存在しない」(強盗=支那の嘘を完全無視)

安倍
「日本と中国は、尖閣諸島において異なる見解を有していると認識し、対話と協議をすることで一致」(強盗=支那の嘘を「見解」とし、領有権問題の存在を認めた)
coffee
2014/11/13 23:56

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