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zoom RSS 誰が「冷静になる」べきなのか

<<   作成日時 : 2010/09/22 15:15   >>

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 尖閣諸島で海上保安庁の巡視船と中華人民共和国の「漁船」とが衝突した事案,日本が船長を逮捕したことに対して中共が種々の「対抗措置」を繰り出したことにより,事態は泥沼の様相を呈している,ように見えます。
 しかし,泥沼なのはあくまでも政治,および政治力の影響が及ぶ範囲の話で,政治と関わりのない人たちにとっては,政府の立場は分かるけど,それで何かと揉めるのは止めてもらいたいというのが実感ではないでしょうか。


 さて日本国内の報道を見ていると,今回の「反日」を2005年のものになぞらえて捉えたい人たちが多いようですが,どうも話はそう簡単ではないように思います。

 2005年の「反日デモ」で主役とされたのは当時大学生だった人たちですが*,今回行われたデモで主役だったのは大学生ではないということに注目する必要があります。
 「各地で抗議行動が行われている」と報道されていますが,先頭に立って活動している人,写真や映像に登場する人は,若い人が多少混じっているとしても,結構年齢の高い人が多いのが現状,つまり若者は参加してくれない訳です。

 既に授業期間に入っている大学生からすれば,デモに参加して授業の欠席を取られ,それが引き金になって単位を落とす(まで至らなくても、何か不利な)ことにでもなれば,自分の将来に関わることになるのですから(中華人民共和国の大学は欠席や遅刻に厳しい部分もあり,共産党員や共産党入党を目指す人にとって1つの遅刻欠席が将来の出世に響く可能性があると考えれば*),年配者ばかりが参加することになるのは当然の成り行きです。またそれは,デモに参加することが共産党の活動として得点にならないということでもあるでしょう。もしデモへの参加が共産党や大学の活動として奨励されていれば,嫌でもデモに参加することになるでしょうから,抗議活動はもっと活性化していなければならないのです。

 さて,こう考えてみると,この種の抗議活動は「官製デモ」として「ガス抜き」の意味があると考えられているようですが,真の意味で「日本に対する不満」*を持っている人たちの「ガス抜き」にはなっていないし,そもそも若者たちがこの件に関して反日で騒ごうという姿勢があるのかどうか,これを見極めていく必要があるでしょう。



 さらに,今回,中共は色々と対抗措置を出してきているものの,最高指導者である国家主席胡錦涛,それに第二位の国務院総理温家宝が,現時点でこの問題について積極的な発言を控えているという,何とも「穏便な」状態ではあります。

 しかし,現地時間9月21日晩,温家宝がこの件についてニューヨークで開かれた会合の中で発言し,(これまでの中共の主張と同じく)日本側に拘束(逮捕)*されている船長の解放(釈放)*を強く求めたということです。


 時事ドットコムの記事を読むと,温家宝がニューヨークで公式に発言したように受け取れますが,中共中央の公式ページの記事(新華社電:日本文の場合MSN産経の記事)を読むと,事は少し複雑です。
 その記事によると,温家宝は何とも嫌らしいことに,中華人民共和国内ではなくニューヨークで,しかもメディアに向けてではなくニューヨーク滞在の華僑華人や中華人民共和国系企業、それに留学生との会見上で発言したというのです。
 メディアで傳達されることを見越した上での発言かも知れませんが,あくまでも直接言ってくるのは外交報道官のような「下っ端」や主要閣僚でも下の方,上の方は日本側に直接言ってくるようなことをしないで居ながら,身内には強い態度を見せて「人民の不満」を爆発させないようにしている訳です。

 中共中央の記事を読む限りでは,船長の釈放を求め,釈放しない場合は更なる対抗措置を取るとし,その責任は日本側にあると述べた上で,日本は誤った道から脱出し云々というのが続く訳で,これまで外交部の報道官によって為された発言内容と何ら変わりないのです。


 ひょっとしたら,会見の席上で「聞かれたから答えた」だけかも知れないものですが,こういう風になること自体が予定調和なのかも知れませんが,何とも持って回った言い方をするものだと思いますね。最高指導者として,今のところあくまでも直接言わない,でも政府として聞かれれば言わない訳にはいかないので,政府に対して友好的な人が集まる所で,批判されることがないから言う。実に嫌らしい(老獪な)やり方です。


 忘れてはならないのは,現時点で中共が様々な「対抗措置」を取っていますが,その措置を取っているのはあくまでも「下っ端」であることです。胡錦涛の命令で日本旅行ツアーの募集自粛を求めたとか,温家宝が1万人規模の訪日旅行の中止を命じたとかいう,政府首脳の命令で「対抗措置」が取られているとは,少なくとも明らかにされていません。


 このように考えてみると,相手のトップ2が直接的には何も言ってきていない現時点で,日本政府は何らの対応も取るべきではないのです*。また,報道内容は全て海外に流れ出すという前提を考慮に入れれば,現時点ではメディアも首相や官房長官をはじめとする政府関係者から何らの言質も取ろうとするべきではないのです*。
 さらに言えば「この件について質問されて何も発言しない」ことすら報道するべきではない,ましてや何らかの発言を引き出すなんてとんでもないということです。もしメディアが国益に貢献することを考えるのならば,政府側から何か発言したいと言ってくるまでは質問するべきではないのではないかとも考えています。

 そうでなくても閣僚の中には,蓮舫のように「尖閣諸島は領土問題」と言ってしまう愚か者*馬淵澄夫のように政府として対抗措置の応酬を決定していないうちから対抗措置の応酬をしてしまう「子ども」が混じっているのですし,政府が一枚岩でない*というのは,外交における失点以外の何物でもないのです。
 日本国内の話で済むのであれば,政府の失点を粗探しするのもメディアの報道姿勢の1つ*でしょうが,この話では政府の失点はそのまま国家の失点,すなわち「国益」の喪失に繋がることですから,失点を粗探ししたい気持ちを抑えるのもまた「国益」に叶うことではないかと考えるのです。

 「暴徒知事」石原のような「人の振り見て我が振り直せ」な人も居ますが,日本もできるだけこういった「下っ端」*に騒がせておいて,その間に政府の姿勢の一貫性を涵養していくような姿勢というのは考えられないものでしょうか。


 …あ,鳩山でも菅でも(事によるとそれ以前でも),政府の姿勢が一貫していくことを期待するのが,そもそも無理な話か。


 余談ですが,Record Chinaの記事にある朱建栄の発言を見て非常に腹立たしく思っています。そもそもReco-Chの記事は中共の立場のものが多い(そんな記事しか翻訳しない事が多い)のですが,その中でも朱建栄は「自分は中立の視点でものを見ている」と言い続けてきただけに,非常に質が悪いのです。馬鹿朱建栄よ,もうそろそろ中立面して日本に居続けるのは止めたらどうか。中共系メディアに良い面したいのならしても良いだろうが,そうなればあんたはもはや中共の代弁者でしかない,ほんまもんの中共の手先だよ!


 あ,あと,この問題に関しては,政治問題として積極的に発言しようという人でもない限り取り上げることはないのですから,日中双方の「国民」や「人民」は殊更にこのことで世間を騒がせるべきではないのです。
 自分の目の前の一般人を,どれだけ言い負かしたり,怒鳴りつけたり,どつき回したりしたところで,尖閣諸島(釣魚島)が自分の国のものになる訳ではないのですから。




* 当時中華人民共和国内に滞在していた人の話を聞くと,当時でも「反日デモ」の主体は大学生ではないという見方があり,そもそも主体が大学生ではない可能性もある。
* 共産党入党の意志がなければ,授業を欠席しても問題ないだろうが,そういう人は政府主導の催しにも積極的に参加しないと考えられよう。
* そもそも日本に対して「何でも反対」ならガスが抜けることはないし,政府監視の下での限定的活動でガスが抜けるのなら,それは真の意味での「日本に対する不満」ではない。
* 中共側から見れば「拘束」,日本側から見れば「逮捕」。
* 中共側から見れば「解放」,日本側から見れば「釈放」。
* もちろん,何か起こった時に対応出来る準備は整えておく必要がある。
* 報道機関として情報を持っておきたいのならば,オフレコで,しかも時宜をわきまえ,不必要に公開しないという姿勢で情報を保持する覚悟が必要であるが,それができる報道機関がどれほどあるか。
* 個人としてどう考えるかは自由だが,閣僚として発言する時には政府の考えに沿わなければならないのは自明。さらに言えば「誤解を与える表現」をしたのではなく,蓮舫自身が誤解していただけ。
* 時の経過につれて発言内容が変わるというのも問題と言えるが,同じ時間に政府内で人によって言うことが変わるのはそれ以上の問題である。
* それが「中立公正」かどうかは不明だが。
* 中央政府の構成員でないという点で,都知事でも「下っ端」とは言えよう。




参考
中華人民共和国中央人民政府:温家宝总理在纽约强烈敦促日方立即无条件放人 (※中国語)
 http://www.gov.cn/ldhd/2010-09/22/content_1707863.htm

時事ドットコム:「さらなる措置」を警告=漁船船長の無条件釈放要求−中国首相
 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2010092200262

MSN産経ニュース:温首相が船長の即時釈放を要求 新華社報道
 http://sankei.jp.msn.com/world/china/100922/chn1009221036002-n1.htm
同:蓮舫氏「尖閣諸島は領土問題」、一転「わが国固有のもの」と発言修正
 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100914/plc1009141742012-n1.htm
同:馬淵国交相 中国副局長の表敬を拒否 「冷静」装う他閣僚と温度差
 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100921/plc1009212234026-n1.htm

Record China:<尖閣問題>日本が仕掛けた「衝突」は間違った判断=日本在住華人が懸念表明―日本華字紙
 http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=45568

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