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zoom RSS メディア・リテラシー(読み解き)実践の好例

<<   作成日時 : 2010/07/08 13:13   >>

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 メディアは「本当のこと」を傳えるとは限らないとよく言われます。こと日本の場合,「常に」信頼出来る媒体というのは存在しないと言っても良い位,中立性には欠けています。むしろ,党機関誌とか宗教団体関連誌の方が,方向性が鮮明に出ていて傾向を読み取りやすいと言えるのかも知れません。

 その意味で,時に「一度死んだ方がいい」と揶揄される媒体であっても,その伝える情報が「常に信頼出来ない」とは限らない訳です。むしろ散見される「メディアによる印象操作」をどのように見つけ出していくか,これが問われるのがすなわち「メディア・リテラシー」なのでしょう。
 注意:「メディアによる印象操作」は引用元が思っているような一方向的で故意によるものとは限りません。自分の感覚を研ぎ澄まし,つねに「批判的な」読み解き(自らに対するものも含む)を要求されるのが「メディア・リテラシー」の本質です(自分自身も「メディア」であることを忘れてはならない)。



 今回取り上げるニュース,Web上ではasahi.com,YOMIURI ONLINE,MSN産経が取り上げていますが,読み比べてみると,どれを読むか,あるいはどれを信頼するかによって,読む人が受ける(であろう)印象がかなり変わりそうなものになっています。


 記事に付けられた題名は以下の通りです。
  asahi.com「駐車中の男性、棒で殴られ携帯3台奪われる 大阪・西区」
  YOMIURI ONLINE「多分日本人、マネーマネーと脅し殴って携帯奪う」
  MSN産経「鉄パイプ強盗「マネー!ブラジル人怖いよ。殺すよ」 マッサージ店員重傷」


 最も当たり障り無く書いているのが今回はasahi.comです。
駐車中の男性、棒で殴られ携帯3台奪われる 大阪・西区

2010年7月7日10時55分

 7日午前3時15分ごろ、大阪市西区九条1丁目の路上で、駐車中の軽乗用車の運転席にいた近くのマーサージ治療院の運転手の男性(61)=同市東淀川区=が、開けていた窓から男2人に「マネー、マネー」と金を出すよう要求された。男性が拒むと、うち1人が「殺すよ」と言って鉄パイプのような棒で男性を殴り、もう1人が助手席の乗り込んで物色を始め、携帯電話3台を奪って逃げた。男性は顔に重傷。府警が強盗傷害事件として調べていると発表した。西署によると、男2人は30〜35歳。いずれも上下黒っぽい服装で、マスクを着用していたといい、近所の人の通報で駆けつけたパトカーのサイレンで逃げたという。(青田貴光)



 これがYOMIURI ONLINEになると,少し感じが変わります。
多分日本人、マネーマネーと脅し殴って携帯奪う

 7日午前3時5分頃、大阪市西区九条の路上で、近くのマッサージ店従業員の男性(61)が乗用車をとめて休んでいたところ、開けていた窓から2人組の男がのぞき込み、「マネー、マネー」「ブラジル人こわいよ。殺すよ」などと脅された。

 男性が「金はない」と言うと、男らは車のドアを開け、鉄パイプや石のようなもので男性の顔などを数回殴り、携帯電話を奪って逃げた。男性は顔の骨を折るなど重傷。

 府警西署は強盗致傷容疑で捜査。発表によると、2人組はいずれも30歳代前半くらいで、1メートル60〜70、黒のTシャツを着て、白いマスクをしていた。2人は暴行中、滑らかな日本語で会話することもあったといい、同署は、外国人を装った犯行とみて調べている。
(2010年7月7日12時28分 読売新聞)



 MSN産経になるとこうなります。
鉄パイプ強盗「マネー!ブラジル人怖いよ。殺すよ」 マッサージ店員重傷
2010.7.7 11:04
 7日午前3時5分ごろ、大阪市西区九条の路上で、駐車中の軽乗用車にいた大阪市東淀川区のマッサージ店従業員の男性(61)を2人組の男が「マネー、マネー」と脅迫。男性の顔を鉄パイプで殴るなどし、携帯電話3台を奪って逃走した。男性は顔を骨折するなど重傷。西署は強盗致傷事件として捜査している。

 西署によると、2人は30〜35歳ぐらい。1人は身長約160センチ、もう1人は身長165〜170センチでいずれも黒っぽい服装にマスクをしていたという。

 男性が「金はない」と答えると、1人が鉄パイプで男性を殴り、近くの繁華街への道順を尋ねた上で「ブラジル人怖いよ。殺すよ」と脅してさらに殴った。もう1人は助手席に侵入し、ブロックのようなもので男性の顔を殴ったという。



 さて,読み比べてみると,3つともに共通する部分と,1つだけが取り上げている部分、逆に1つだけが取り上げていない部分があり,結構面白いことになっています。

 ここで私が注目したいのは,犯人の言語的特徴と「何人か」に対する認識です。
 情報を総合すると,犯人は「ブラジル人」と特定されている訳ではなく,「「滑らかな日本語」を話す人がブラジル人を装っていた」可能性があると捉えられているのでしょう。
 おそらくasahi.comはそれを見て「ブラジル人こわいよ」を省き,「マネー、マネー」「殺すよ」という部分のみを抽出したのでしょう。
 YOMIURI ONLINEは「ブラジル人こわいよ。殺すよ」という部分まで抽出していますが,題名に「多分日本人」と入れることによって,「犯人がブラジル人を装った可能性」を示唆しています。
 一方MSN産経は,題名に「ブラジル人怖いよ。殺すよ」を含み,さらにYOMIURI ONLINEが示唆した外国人を装った犯行」の部分を書いていません


 被害者の男性の怪我の度合いも,asahi.comが「顔に重傷」としているのに対してYOMIURI ONLINEとMSN産経は顔の骨を折ったことに触れています。


 見てみると以下のようなことが読み取れます。
 asahi.comの記事は非常に簡略化されていて,無駄な先入観を与えないようにしようとしていますが,それゆえに情報が粗雑になっています。
 YOMIURI ONLINEとMSN産経はasahi.comより詳しく取り上げており,犯人と被害者のやりとりでの発言も取り込んでいます。ただ,「ブラジル人こわいよ。殺すよ」が被害者の「金はない」の発言より前だったのか後だったのかが異なっていて,少なくとも一方の情報は混乱しているようです。

 これが「外国人を装った犯行」であった場合,YOMIURI ONLINEの書き方だと犯人は始めからブラジル人を装っていたことになりますが,MSN産経の書き方になると,犯人は最初「マネー、マネー」だけ言って「外国人を装い」,それでもし金品を奪い取れたのであれば,「ブラジル人」とは言うつもりが無かった可能性があることになります。


 まあ被害者からすれば,どこの国籍の人だろうが,どこの人を装われようが,被害を受けたという点では同じですし,それを見聞きする側からしても,治安の問題として捉え,なに人による犯行かをあまり重視しない場合には,意味のないことかも知れません。

 しかし,「外国人」犯罪を問題視する人たちも居る訳ですから,「外国人の犯行を装った」ことについてどのように扱ったか,それはすなわち今回の犯行を「外国人」犯罪の範疇に入れて扱うかどうかとも関連する訳です。今回3紙でそれなりの違いが出てきたので,取り上げる価値があると思った訳です。
 私自身の考えとして,MSN産経の取り上げ方は,外国人を装った犯行の可能性について全く触れていない上に,「ブラジル人怖いよ。殺すよ」の部分を記事の題名にまで入れているので,外国人による犯行であることを示唆しようとしているものと考えざるを得ず,今回の事件を伝えるものとしては不適当と考えます。


参考
asahi.com:駐車中の男性、棒で殴られ携帯3台奪われる 大阪・西区
 http://www.asahi.com/national/update/0707/OSK201007070059.html

YOMIURI ONLINE:多分日本人、マネーマネーと脅し殴って携帯奪う
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100707-OYT1T00556.htm

MSN産経ニュース:鉄パイプ強盗「マネー!ブラジル人怖いよ。殺すよ」 マッサージ店員重傷
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100707/crm1007071106008-n1.htm

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