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zoom RSS 感情の垂れ流しの類

<<   作成日時 : 2010/06/06 15:31   >>

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 石平という人は,おそらく評論家なのでしょうが,今回発信されたメールマガジンを見る限りでは,到底「評論家」を名乗る資格はないなと思う訳で。

 6/3に配信された「石平(せきへい)のチャイナウォッチ:No.089号」は,「鳩山首相の退陣に思うこと」と題し,鳩山由紀夫首相の退陣について書かれています。
 石平は鳩山の退陣が「遅きに失したもの」で,その理由は「彼の在任中の約9が月間、日本の国益が毎日のように損なわれていることが明々白々な事実だからである」(原文のまま)としているのですが,これはあまりにも文学的な表現でしょう。
 政治評論として「日本の国益が毎日のように損なわれていることが明々白々な事実」というのなら,当然「何月何日にどのような形で日本の国益が損なわれたか」を明らかにする必要があるのではないでしょうか。
 そのようなことは「証明する必要すらない」と言いたくなるかも知れませんが,政治評論としては,何月何日にとまでは言わなくても良いかも知れませんが,どの場面でどのような形で「日本の国益が損なわれたか」を明らかにする必要があると思うのです。

 普天間の米軍基地移設の問題で言えば,国益とは一体何なのか,基地移設の中身だけを見れば,結局自民党執政時代の合意内容に立ち返っただけであって,何かを新たに損なった訳ではありません。
 例え鳩山の発言が二転三転(二とか三とかどころではなかったのですが)したことによって「米国の信頼を失った」ということが「国益を損なった」というのであれば,それは確かにそうなのでしょうが,ならば鳩山以前にはそのようなことがなかったのかと言えば,それは疑わしい。
 さらに,鳩山は「首相就任以前の論文で既に米国の信頼を失っていた」と可能性もあり,そうであるならば,

 石平は「普天間基地問題を巡っての迷走で日本の安全保障の基本を壊し」と書いていますが,少なくとも社民党を切り捨ててまでして自民党政権時代の合意に立ち返ったことによって,「日本の安全保障の基本」は壊れなかった訳です。
 鳩山政権の「迷走」をどう評価するかはともかくとして,事実を曲げて(としか言い様のない書き方で)書くのは,政治評論家としてどころか評論家としての資質が疑われると言っても過言ではないでしょう。


 さらに,石平は「複雑な気持ち」として書いているものの,鳩山の退陣が「遅きに失したもの」としている一方でこのようにも書いています。
同じ「日本の国益」という視点からすれば、今回の参議院選挙では何としても
民主党に大敗してほしいところだが、鳩山氏の首相続投がそれに大いに
「貢献」できるはずである。


 つまり,石平にとってどうあって欲しいのでしょうか。まあ想像に難くはないのですが,民主党が与党から外れることと,民主党が選挙で大敗することを望んでいるという事でしょうか。
 しかし,それは先の衆議院選挙で民主党が大勝したこと自体を否定したいということを示すのでしょうが,なぜ先の衆議院選挙で民主党が大勝したのかと言うことについての分析がないですね。


 視点を変えて見てみると,鳩山の首相就任は中共には「日本の右傾化が弱まる」として歓迎されていた訳であり,少なくとも日中関係という視点で見れば,鳩山,引いては民主党が執政与党になっていること自体が利益になっていたという見方をすることは可能です。もちろん,石平のような手合いから見れば,日本と中共とが友好的になること自体が「国益に反する」ということにしかならない*のでしょうが,それはあくまでも「自分の視点」から見たものでしかないのです。
 また,だからと言って中共と敵対すれば国益に叶うのかというと,敵対することに夜影響を計算していないので,それはそれでまた現実味がない訳です。


 なお,劉江永氏に拠れば,日中関係における中共の立場は,1972年以降に日中間で取り交わされた4つの文書に基づくものというのですが,その4つの文書を取り交わしたのは何を隠そう自民党政権です。石平にはその点もしっかり踏まえて貰いたいものですね,中共に対して,石平が望むような立場で日本政府が応じようとする場合の障壁となるものは「全て」自民党政権によってもたらされているという事を。


 石平は次の参議院選挙での民主党大敗を望んでいる訳ですが,ではその選挙で勝つべきはどの党なのでしょうか。石平のメールマガジンにはそれがありません,つまり,石平の望む「民主党大敗」は,単に民主党が執政与党であることに対する対症療法的なものでしかなく,その後がないのです。そこまで言うのなら,折角日本国籍を取得したのですから,石平自身が出馬するなり政党を結成するなり,あるいは既存の団体を牛耳ってみるなりしてみれば良いのですよ。


 さて,石平は更に「去年の8月の総選挙で鳩山民主党政権が誕生したとき、日本国民として人生初めての選挙権を行使できた私は、民主主義の政治システムに多少幻滅した」と書き,その理由を「鳩山首相と民主党政権の誕生という最悪な結果は、他ならぬ民主主義的選挙によってもたらされたからである」としています。
 しかし,選挙の結果が「最悪」かどうかは,その後の政治手腕によって決まるものですし,そもそも「民主主義的選挙」がちゃんとした形で行われた場合,選挙の結果が「自分にとって最悪」なことはあっても,「政治システムにとって最悪」なことは無い訳ですから,石平の言っていることは,政治システムに対する議論にはなっていないのですね*。

 その上で「民主主義の政治システムに多少幻滅」しているのですから,これは評論でも何でもなく,ただ選挙の結果が自分の思う通りにならなかったことに対する苛立ちを表現したものでしかない訳です。

 そこから考えると「彼のような人間が総理大臣になったこと自体は大きな間違い」とか「悪事を働き続ける鳩山政権」いうのも,単に石平自身の考えと鳩山の政治思想とが合わないというだけのことであって,実際間違いだったのかとか悪事を働いたのかどうかとは何ら関係ない訳です。しかも根拠が全く示されていないのでは,一体何故このように言えるのかについて,読者は理解できないのです。


 結局,石平の言っていることは,何から何まで無根拠,感情を吐き出したものでしかないという事です。果たしてこれはどういう人が書く文章なのでしょうか。ジャーナリスト? 評論家? 作家? 文学者? どれでもないように思います。


 それにしても,このメールマガジンは「誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考」ということなのですが,今回の記事は明らかにそれから外れていますし,中身もそれを外して余りあるほど素晴らしいものという事でもないのです。まあ,メールマガジン自体が無料なので,大したことでもないのですが,無料だから何を言っても許されるというものではないでしょう。
 …それを石平に期待するのは酷なんでしょうけどね。



* 中共が信用出来ないと考えているのに加えて,中共か米国かの二択しか考えにないからであろう。
* 石平は昨年の衆議院議員総選挙がきちんとした形で行われなかったとはしていない。



参考
石平(せきへい)のチャイナウォッチ:No.089号 鳩山首相の退陣に思うこと
 http://archive.mag2.com/0000267856/20100603105845000.html

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