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zoom RSS 新しい『三国』ドラマをどう見るべきか

<<   作成日時 : 2010/05/12 23:58   >>

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 2010年5月2日,中華人民共和国本土の4つのチャンネルで新版『三国』の初回放送が始まりました。

 何かと批判の多い新版『三国』(全95回),既に1〜32回のDVDは発売されており(買っちまった),その海賊版も見つかっている*という新版『三国』,ですが,とりあえず見てみないと何とも言えないと思って,時間の許す限り見るようにしています。
 1stQに当たる20回までを通しての感想としては,『三国演義』を過剰なまでに現代化して,所謂「ちゃちなもの」にしてしまったのが新版『三国』であるということですね。

 まあ,1Qの主役は呂布(何潤東)と貂蝉(陳好),前半戦の主役級が曹操(陳建斌:老いた曹操を演じるには若過ぎるが壮年を演じるには適役)という設定のようですが,1Q最大のミスキャストが呂布と貂蝉という為体なので,大失敗と言わざるを得ないでしょう。

 呂布は「ジャニーズ系呂布」とでも言うべき,最近の,ゲームによって作り上げられた,格好いい呂布像をそのまま歴史ドラマに投影してしまった時点で大失敗確定な訳ですが,それ以上に,呂布と一騎打ちを繰り広げる役者が何潤東よりも何枚も上手なので,呂布がますます大根に見えてしまうという悪循環。

 貂蝉は「年方二十八村姑」*(二十八歳の村娘:要はイモってことですな)という悪い冗談で言われる程に「色気の無さ」を指摘されています。確かにこの貂蝉では,何故「美女連環の計」が成功したのか疑問ですね。呂布に肩入れした貂蝉など董卓にとって「魂を抜かれる」ほどの存在ではないでしょうに。
 呂布と貂蝉が「姉弟みたい」*という評価もあり,陳好では役者が不足していたという意見が多いようです。それにしても「姉弟」は言われ過ぎですね,呂布と貂蝉では貂蝉の方がどう考えても遥かに年下なのに。まあここまで言われる程のミスキャストという事でしょうか。

 第18回では呂布が処刑されるのですが,処刑の様子も全くいただけない。柱に括り付けておいて一斉に矢を放って殺すという処刑など,一体何の映画の悪い影響を受けたのかという無駄っぷり(過剰な現代化)。

 キャストに関して言えば,曹操、劉備(于和偉)、袁術(閻佩:填り役,1994年版を上回る外見)あたりが様になっていて,張飛(慷慨:少しかわい過ぎる外見だが)がなかなかいい味を出していると言うところです。
 関羽(于栄光)の評価は保留。于栄光は『翡翠鳳凰』の常敬斎で物静かな役どころでの実力を発揮したものの,現時点では「落ち着きのある関羽」なのか「冷淡な関羽」なのかの見極めが必要と考えます。単騎千里行でどのように魅力が発揮されるのか(されないのか)で決まるでしょう(DVDで見ることはできるが,放送まで待つことにする)。
 董卓(呂暁禾)は外見で1994年版を上回ったにも関わらず,下衆野郎にし過ぎた為に却って全体的な魅力を落とす結果になったので褒められないという感じです。一旦は朝廷を掌握するだけの実力を持つ者ですから,下品の中に強さがないと困る訳で。

 あと,エンディングが毎回同じというのも,『三国演義』のドラマとして考えるならば,褒められたものではありません。現在CCTV-8(テレビドラマチャンネル)で再放送されている『三国演義』を見ると分かるのですが,1994年版はエンディング曲こそあったものの,時にエンディングが本編に引き続く形で違う曲になったり,エンディングで流れるキャストはその回に登場した人物の分だけであったりと,色々と工夫がされていました。
 最近のテレビドラマの流れを汲んでいるという弁護はできるのですが,新版『三国』はエンディングに工夫が「まるで」無い。初回から諸葛亮とか劉禅とか司馬懿とか,果ては曹爽とか司馬師とかのキャストを並べられても何だかなと言う感じですし,さらにそれらが登場順に並んでいる訳でも,名前順に並んでいる訳でもない。何かの力学が働いているのでしょうが,何らかの工夫を見せて欲しいものではあります。

 結局,何と言うべきか,いくらメディアで巧言令色を尽くしてみたところで,監督の高希希がこの新版『三国』を百年の名作にしようとしているとは到底思えないのですね。
 監督が『三国演義』を踏み台にして,自分の演出を格好良く見せようという部分しか感じられない訳です。その意味でも,高希希は陳凱歌や張藝謀の足元にも及ばないというのがよく分かります。

 現時点での評価は,新版『三国』,ベテランの役者の能力に救われているという感じです。つまり,脚本、監督、演出は駄目駄目という評価を下さざるを得ないというところです。
 それが今後変わるようならば,それはそれで喜ばしいのですが,現状を見るに,それが全く期待できないというところに,新版『三国』の限界を見てしまうのは私だけでしょうか。


* 『新京報』2010年5月11日C05面
* 『新京報』2010年5月8日A27面。貂蝉は「二八」の年齢(=十六歳)と設定されている。
* 『新京報』2010年5月6日C05面


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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
はじめまして。
「三国」を検索してたら辿りつきました。

先日DVDを買って見始めてます。
なんだか見せ場の継ぎはぎみたいな作りで、ザツですね。
ベテラン俳優さんに助けられているというのは同感です。
私は俳優とか演技とか全然わからないんですけど、後半に入って若い俳優が増えたとたんに、なんだかつまらなくなってきました……孔明とかもうやめてって感じ。今70話まで見ましたが、95話まで見続けられるか不安になってきました。
さぶ
2010/06/21 04:39
>さぶ 様
 コメントありがとうございます。
 おそらく高希希は「見せ場の継ぎ接ぎ」を狙って制作していると思います。
 雑なのは確かで,制作費が意外と少ない(1994年版の2倍程度)らしく,その影響がまともに出ているのかも知れません。

 70話まで御覧になったのなら,何とか95話まで完走して下さい。
Eric Prost
2010/06/21 11:01
はじめまして。
中国人の僕は新しい三国演義の中国語Versionをみることないが、直接に日本語Versionをみる。足下の意見を大部賛成するのほかに、日本語の声優はこの新しい三国は特別な魅力をくわえた、と思います。文中に言った「現代化」は確かに正確です。。。I.E.呂布が貂蝉に、「キミと合体したいに」って。。。。。。。。超びっくりした。
でも、94年の三国と比べて、背景・服装・武器・などには進歩もある。人物の外形も一歩あがる。
いつれにして、94年の三国はわれわれにたいして特別な意義がありましたが、新たな三国は特別な感動なし、ただ普通な商業ドラマだけです。
ビンーグ
2012/07/20 04:45

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