Eric Prog

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zoom RSS 御都合主義の固まり

<<   作成日時 : 2010/03/05 23:29   >>

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 このような考え方に関して,以前平沼赳夫を批判した記憶があるのですが,平沼に限らずともこういった手合いはそこかしこにいるという事でしょうか。


 リアルに知っている方の1人であるタマさんが,Weblogの記事で何か怒っていらっしゃる。
相撲協会が度し難い団体だということはわかっていたけれど、今回のはひどい。
「帰化でもダメ」などと言える神経がわからない。 帰化したら「日本人」じゃないか?
「元ナニ人か」「帰化したかしていないか。」なんて、問うほうがおかしい。


 何かと思ってWebで色々と見てみました。
 どういう事かと言うと,2月23日のことですが,日本相撲協会が,YOMIURI ONLINEの書き方を借りれば「外国人力士の採用は「1部屋1人」とする申し合わせを徹底させることを決め」たということです。
 YOMIURI ONLINEによれば,「2002年から適用されている申し合わせ事項では、「外国人力士が在籍している部屋は当該力士が引退するまでは新たに採用できない」と定めている」とのこと。今回当該力士が日本国籍を取得した場合でもこの規定を「厳格に適用」して,新たに「外国人力士」を入門させないようにするようです。


 まずこれをどう捉えているのか,各社の書き方を見てみましょう。
 「外国出身枠を厳格化した」(毎日jp)
 「今後は、外国人力士が日本に帰化した場合でも、原則、この規定が厳格に適用される」(YOMIURI ONLINE)
 「申し合わせは国籍取得に触れていないが、改めて徹底を促したのは、こうした例の続出を防ぎ、原則的に外国出身者を各部屋1人とする狙いがあるとみられる」(asahi.com)
 「日本国籍取得後に同じ部屋に新たな外国人力士が入門するケースが増えてきたため、是正に乗り出した」(Sponichi Annex)
 「この時期に規定を厳格化したのは、朝青龍問題の再発防止と安易に外国人力士を入門させる風潮へメスを入れたと言える」(スポーツ報知)
 「採用規制の申し合わせを徹底させる」(nikkansports.com)

 asahi.comに書かれている「こうした例」というのは何なのでしょうか。asahi.comは部屋名を伏せて報じていますが,Sponichi Annexには「立浪部屋では昨年12月にモンゴル出身力士2人が日本国籍を取得し、直後の今年初場所で新たなモンゴル人力士が入門。角界最多3人の外国出身力士が在籍するようになった」ことを指すようです。

 立浪部屋の「外国人力士」の解釈が問題の発端となったらしいですが,今回の措置について,nikkansports.comとSponichi Annexは「変更」や「切り替え」という語を用いて相撲協会の解釈が変更されたということを報じていますが,他は「厳守」、「再確認」、「徹底」といった書き方をしており,まるでこれまでの規定が済し崩しになっていたのだと言わんばかりです。

 「日本相撲協会は23日、東京・両国国技館で理事会を開き、1部屋につき1人とした外国人力士枠の申し合わせについて「1部屋に外国出身者1人」と変更することを決めた」(nikkansports.com)
 「武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海)はこの日の理事会で、「1部屋1人」としていた外国力士人枠の申し合わせ事項を「外国出身力士枠」に切り替えることを提案。出席者の賛同を得て、直後に行われた臨時師匠会で各師匠に通達した。」(Sponichi Annex)


 「外国人力士」と言おうが「外国出身力士」と言おうが,所詮は「日本人」でない人たちの入る枠を決めてしまおうと言うことなのですが,誘われたからとは言え,わざわざ日本まで来て,相撲という1つの「日本文化」の普及に役に立ってくれると言ってくれる人を,その出自だけでまるで邪魔者の如く扱おうということなのですから,その了見の狭さは言うまでもありますまい。


 そして,タマさんは「そもそも「抜け道」とか言う以前に、「外国人枠」自体を問い直したほうがいい。」と言っておられますが,マスコミはこのように言うのが精一杯なのでしょうか。
最近、幕下以下の外国人力士に日本国籍を取得させ、空いた枠を使って新たな外国人力士を入門させる例が増えており、事実上の「抜け道」に制限を加える狙いがある。」(YOMIURI ONLINE)
最近は在籍する外国人力士が日本国籍を取得した後の空いた枠に、新たな外国人力士を入門させる“裏技”を使う部屋も出てきた。」(Sponichi Annex)
 これを見るだに,申し合わせがどれだけいい加減なものだったかが分かろうものなのですが,マスコミはその「申し合わせ」を「既にあるもの」としてしか捉えていないように見えます。
 各社が今回の決定をどう捉えているのかということと合わせると,マスコミは記事を書くことによって相撲協会の,ナショナリズムと呼ぶのもナショナリストに失礼な感情に基づく愚策を下支えしているのだと指摘しておきたいですね。


 そして,今回の話を朝青龍の話と絡めて書いたのがSponichi Annexとスポーツ報知ですが,これには「悪意」すら感じざるを得ません。所詮朝青龍など都合の良い言い訳の1つに過ぎないのに,まるで朝青龍の問題があったからこそ,外国人力士に関する申し合わせを徹底する必要があったのであって,決して「日本人」の了見が狭くなった訳ではないとでも言うかの如き書き方をしている訳ですね。そこまでして「『日本人』だけの相撲界」を守りたいのですかね。
 全ては朝青龍のせいだと言うことでしょうか。朝青龍を「更生」させられなかった高砂とか,全ての責任を朝青龍と高砂に押し付けて安穏としている相撲協会の面々とかの責任は棚に上げて。このような記事を書いて,本当に相撲の記者と言えるのですか?


 さて,実は最初に確認しておくべきだったのですが,「抜け道」、「裏技」に関して,事実上の「抜け道」って,誰にとっての「抜け道」なのでしょうか。これは直接「外国人力士」とか「外国出身力士」とか言われている人自身にとってのものではなく,そういった力士を入門させている親方にとってのものと捉える方が正確かも知れません。
 外国人力士を新たに入門させる為の「抜け道」という事であれば,おそらくは15〜25年程前に問題とされていた,育成費目当ての外国人力士大量入門の話が念頭にあるのだろうと思うのですが,その頃には日本国籍を取得させようというような話は(ほとんど)なかったのではないでしょうか。
 日本国籍の取得が以前よりは容易になったから,日本国籍を取得しようという力士も出てきたのだと思いますし,力士の将来を考えてもその方が良いと考える親方が出てくるからこそ日本国籍を取得させる動きが出てくるのだと思いますが,それを何故「抜け道」、「裏技」としか捉えられないのでしょうか。
(※育成費目当ての勧誘など,日本人相手でも行われていた筈なのだが,それは問題にされない。日本人であろうが外国人であろうが,育成費目当てで勧誘するというそのことの方が問題なのだが。そして,逆に言えば,弟子としてちゃんと育てるつもりなら,日本人であろうが外国人であろうが関係ないと思うのだが。外国人力士をちゃんと育てるのは日本人力士を育てるより手間が掛かることが多いのであり,その手間を惜しまない覚悟があってちゃんとできる親方が外国人力士を勧誘するのなら,別に何人居ようが構わない,とは言えないのかねえ)


 まあ先にも述べましたが,タマさんが言うように,そもそも「外国人」とか「外国出身」とかいう用件で力士の入門を制限していることについて何の疑問も出てこないという事,さらには育成費目当てで次々に入門させたことに対する反省がそのような形でしか出てこないという事の方が問題なのです。どれだけ「国際化」を謳ってみたところで,それは形ばかり,透けて見えてくるのは「『日本人』だけの相撲界」を守りたいという,ナショナリズムとすら言えない奇怪な感情なのです。


 今回の相撲協会の措置,考えてみれば,明らかに「後出しじゃんけん」的な措置であり,場当たり的なものでしかないのです。
 何を以て「場当たり的」と言うのか,これによって発生するかも知れないケースを考えてみましょう。両親が「全くの」「日本人」で,海外で生を受け日本国籍を生まれながらにして持っていて(あるいは二重国籍状態),その後日本に戻ってきて相撲協会に入ろうとした「外国出身の」「日本人」力士はどのように扱われるべきなのでしょうか。
 別に両親が「全くの」「日本人」と考えるまでもなくて,生まれながらに日本国籍を持っているが,日本以外の地で育ち,日本語は全く話せない(「ほとんど」でも良い。要するに日本語を母語or教育言語としていないような人を想定して貰えれば良い)けれども,体格が良くて力士になるのに抜群のセンスを持ち合わせているような人,このような人をどう扱うかという問題です。
 意見は割れるかも知れません。これを「外国出身力士」と扱うのであれば,なるほど一本筋が通っていると言えなくはないでしょう。しかし,日本国籍を持っているのに外国出身として差別するのはいかがなものかという事になるのではないでしょうか。そもそも「(日本)国籍」とは何なのか,そもそも「日本人」とは何なのでしょうかということになりますな。
 逆にこれは「外国出身力士」としては扱わないとするならば,ではその人たちと,後に日本国籍を取得した人たちとの違いは何なのでしょう。まさか生まれながらに日本国籍を持っている人なら,誰でも無条件に「日本文化」を理解できる,そうでなければ無条件に理解できないとか言う訳でもありますまいに。

 あと,入門前に日本国籍を取得した「外国出身力士」はどのように扱うつもりなのでしょうかね。「申し合わせ」というある種「訳の分からないもの」で網を掛けることで,細かい詰めをしないで済まそうという魂胆なのでしょうが,このままではそのうちまた問題が出てくることになるでしょう。そもそも入門前に日本国籍を取得したとして,それを入門時に申告する必要があるのかというのも問題になるでしょうね。

 まあ,日本相撲協会は,日本国籍を「昔から持っている」のではない人については,今日本国籍を持っていようがいまいが「外国人」と同様に扱うと,つまりは過去の国籍によって差別するのだと宣言した訳です。
 そして,その適用方針も人そのものを差別するのではなく,それが所属する部屋において弟子を取る指標として適用される差別であり,本人を差別するとは言っていない点で何とも御都合的なものです。

 こういう事を見聞きすると,これを推進する人たちは勿論,これを支持する人たちの「了見の狭さ」に暗澹たる気持ちにならざるを得ません。いや,「了見の狭さ」よりもその「場当たり性」に暗澹たる気持ちになるべきなのでしょうか。見えてくる魂胆は「『日本人』だけの相撲界」を守りたいという,ナショナリズムとすら言えない奇怪な感情から発生するものでしかないのですから。


 さらに私などは,この前の平沼赳夫の話も思い起こされてきます。今回の相撲協会の通達も,日本国籍を取得した力士を「元々日本人じゃない」ということで「外国人力士」の枠に据え置く訳ですから,「日本人」というのは何とも「日本人」であることに信仰とでも言うべき神話的な価値を見出しているのだということでしょうか。「日系日本人」の私には全く理解できませんね(「在日日本人」の方はどうでしょうか?)。



 先に「まさか生まれながらに日本国籍を持っている人なら,誰でも無条件に「日本文化」を理解できる,そうでなければ無条件に理解できないとか言う訳でもありますまいに」と書きましたが,当然裏の意味としては「本当にそう思っているとしたら救い様が無い」ということになります。
 しかし,救い様の無い人というのは本当に居るもので,愛国君などは相撲が「日本の国技である」ことを取り上げて,「日本人は生まれつきそのような歴史と伝統を理解することができる。だが、国籍上は日本人でも生まれが外国ならばそのようなのは理解できない。」と言ってしまってます。こういう手合いには聞くだけ無駄なのでしょうが,「日本人とは何か」と聞いてみたいですね。あと,「日本人」でも外国で生まれた場合はどうなのかとか,他国の国籍を取得して日本国籍を離脱した者はどうなのかとか。
 愛国君に言わせると「朝青龍だけでなく、若ノ鵬・露鵬・白露山といった外国人力士が数々の不祥事を起こし、相撲を国技の地位から引きずり落とそうとした。」という事になるのですが,その記事に付けられたコメントで十分,私が突っ込む必要もありません(時津風部屋の事件に限らず,愛国君の頭の中に「日本人」が起こした不祥事というものは存在しないらしい)。
 このような手合いが「品格」を上段から論じようというのですから,「品格」というのが何とも安っぽく聞こえる訳ですな,駄目だこりゃ。


 最後に1つお願いが。日本にいる時に起こった話なのだから,日本に居る間に書いておくべきだったという突っ込みは無しで。


参考
ニュース記事
毎日jp:日本相撲協会:外国出身枠を厳格化…申し合わせの徹底決定
 http://mainichi.jp/enta/sports/general/sumo/news/20100224k0000m050025000c.html

YOMIURI ONLINE:帰化でもダメ、外国力士「1部屋1人」徹底通達
 http://www.yomiuri.co.jp/sports/sumo/news/20100223-OYT1T01095.htm

asahi.com:外国人力士1部屋1人を再確認 相撲協会師匠会
 http://www.asahi.com/sports/spo/TKY201002230379.html

Sponichi Annex:“ノーモア朝青龍”外国人力士「1部屋1人」徹底
 http://www.sponichi.co.jp/sports/special/2010sumouharu/KFullNormal20100224035.html

スポーツ報知:外国人力士は帰化後も1部屋1人厳守…相撲協会理事会
 http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/sumo/news/20100224-OHT1T00021.htm

nikkansports.com:1部屋に外国出身者1人、力士規制を徹底
 http://www.nikkansports.com/sports/sumo/news/f-sp-tp3-20100223-599393.html


Weblog
ブログ名はぼちぼち考えますわ:帰化でもダメ、外国力士「1部屋1人」徹底通達(読売WEB版より)
 http://kucingliar.sblo.jp/article/35963732.html

愛国を考えるブログ:相撲は国技だから国籍だけ日本人でもダメなのだ。
 http://sinnnoaikokuhosyu.seesaa.net/article/142020024.html

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