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zoom RSS 日中歴史共同研究:報告書「総論」(に噛み付く人のこと)

<<   作成日時 : 2009/12/25 15:25   >>

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 日中の政府が絡んだプロジェクトで,何か新しいことが起こるなんて期待してはいけないということを改めて確認できた,そのことは成果の1つであると思います。

 YOMIURIとasahiのネットニュースは題名が走ってますね。YOMIURIは会見後の記事はともかくとして(見出しとして比較的ましなのを持ってきた),会見前は「「南京事件」は両論併記へ」と来たもので,asahiは会見前しか記事が無くて見出しが「「南京で大虐殺」認定」って,間抜け極まりないな。そこしか見てないというのがはっきり分かりますね。パッと見ですが,産経のが一番まし? …勘弁して下さいよ。
 あと時事に「総論」の要旨が上がっているので,それは参考になりそうです。


 そもそもこの歴史共同研究,やっている最中の2008年に,中華人民共和国側にはやる気がないんだなと思わせるような事態が発生していることを,果たしてどれ位の人が知っているでしょうか(私,「リアルの場」ではその時結構怒りました)。
 中華人民共和国側の座長である歩平が主となって,『若者に伝えたい中国の歴史』という,歩平たちが中華人民共和国で執筆した歴史に関する本の日本語訳を出したのです。しかもこの本,「中国語版」は(少なくとも日本語訳出版時点で)未出版。まあこれが,共同研究に際しての中華人民共和国側の学者の一般的認識として,日中双方に示すものとして出版したのならば,多少の理解は可能ですが,共同研究開始から1年半以上経っているのですから,そうはなっていない。
 つまりどういう事か,共同研究をやっている側から,日中でこれから行われる共同研究がどうなろうと,自分たちが主張する歴史観には影響しないのだと言ってのけているようなものなのです*。だったらこのような共同研究,やるだけ無駄です。そのような無駄なものであっても,研究材料として追わなければならない側の身にもなって欲しいと言いたい位です。
 中華人民共和国側の座長からしてこのようなものですから,そこで新しい成果が出てきて歴史認識に大きな変化があるなどとは,どのように間違っても期待してはならなかったのであって,今回の「1945年以降には触れず」なんてのは予想の範囲内です。中華人民共和国,しかも中共がこれだけ絡んでいて,できる訳がない。報告書の発表だって何度となく延期されてきたし,来年1月に報告書が発表されるということですが,これだって期待しない方が良い,少なくとも出てくるまで安心できない,また突如として延期とか中止とかされるかも知れないのですから。座長の歩平からして所詮「ケダチク」*なのですから,何が起こったって不思議はないのですよ。



 まあ,このような(自分だって後に言っているくせに)「無意味」な共同研究であっても,そこで自分の支持する説が取り上げられていないということになれば,噛み付かざるを得ないのがcoffeeのような手合いの悲しき性というやつでしょうか。

 南京事件については「両論併記」的な,所謂逃げを打った形で纏めに掛かっているようですが,coffeeは当然これに「これでは全く「両論併記」になっていない」と噛み付く訳です。
 どうやらcoffeeは,自分の支持する「学説」が,歴史の共同研究をやるような「専門家」たちに顧みられていないことが,悔しくてたまらないらしいですな。


 そして,自分の支持する「学説」が,実は日本では多数派なのだということの根拠として,以下のような表を挙げてきます。

●『南京大虐殺』 犠牲者数をめぐる議論

30万人 高興祖(南京大学教授)、孫宅巍 (江蘇省社会科学院研究員)、侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館。(日本人学者該当者なし)
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10万人 洞富雄 (早稲田大学教授)、藤原彰(一橋大学教授)、吉田裕(一橋大学教授)、笠原十九司(都留文科大学教授)、 井上久士(駿河台大学教授)and so on
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4万人 秦郁彦(現代史家・元日本大学教授)
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1万人 板倉由明(南京事件研究家)、原剛(防衛研究所調査員)、中村粲(獨協大学教授)and so on
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 0人
畝本正己(元防衛大学校教授、南京攻防参戦者)、鈴木明(雑誌記者)、田中正明(元拓殖大学講師、松井石根陸軍大将の秘書)、冨士信夫(東京裁判研究家)、小堀桂一郎(東京大学名誉教授)、大原康男(国学院大学教授)、竹本忠雄(筑波大学名誉教授)、渡部昇一(上智大学名誉教)、東中野修道(亜細亜大学教授)、藤岡信勝(拓殖大学教授)、冨沢繁信(研究家)、阿羅健一(近現代史研究家)、小林よしのり(漫画家)、高山正之(帝京大学教授)など・・・


 …これを見てその場が凍り付いた。というのは嘘ぴょーんで,一番下の塊とそれより上の塊との「質の違い」に唖然としたのです。
 「小林よしのり(漫画家)」って,この人入れて良いんだったら,上の方にも本多勝一とか俵義文とか入れられるじゃないですか。そもそも小林のやってることなんて,所詮は文献調査、既存説の批判的読解であって,その結果東中野辺りの説を焼き直しているに過ぎないのだから,学説の議論動向を考える時には,この人を勘定してはいけないということですよ(そもそも研究者じゃないのに入れて良いのだったら,上の方ももっと数が増えなければならない)。
 それに「小堀桂一郎(東京大学名誉教授)」、「大原康男(国学院大学教授)」、「渡部昇一(上智大学名誉教)」、「藤岡信勝(拓殖大学教授)」を数に入れちゃってる。上3人は「専門家」ではないし,この問題について特に業績がある訳でもない(単に「発言している」だけ)。藤岡に至っては「言うまでもない」レベルでしかない(だから藤岡入れて良いんだったら,俵ごときでも対抗できるわ)。
 発言しているだけで表の中に入れられるのなら,上の方に入れられる人も多数出てきますわな,そうなるとこの表が主張したいような「今や最も有力な説は、「0人説」となっている」という事実が危うくなってくるのでしょうな。
 あと「証言者」と「研究者」は分けなければならないですね,証言しているだけでこの表に入る資格があるのなら,上の方にももっと人が入らなければおかしい。
 結局ものになりそうなのは,様々批判されているとは言っても,東中野と阿羅程度か。よくそれで「今や最も有力な説は、「0人説」となっている」と言えたものだ。
 あ,そう言えば表の中に西尾幹二入ってないな。…哀れ西尾,coffeeにも捨てられたか?

 それと「鈴木明(雑誌記者)」って,この人を「お仲間」に入れちゃって良いんだ。私はよく知らないからWikipediaなんぞに頼ってしまったけれども,その記述がそれなりに信用性があるとした場合,「お仲間」ではないと思うがな,(鈴木氏は猫や杓子の類ではないが)猫も杓子も「お仲間」にしてしまえば良いというものでもないのですよ(それやると逆に信頼性が低下する)。

 …何のことはない,全く見る価値のない表だったということではないですか。

 まあ学会で「有力な説」の地位を得たいのなら,coffeeもWeblogに80たら84たらの数の記事を挙げていないで,歴史学の雑誌に論文の1つでも投稿してみたら良いのです。資料は十分あるらしいのだから,それこそ「歴史学の専門家」を味方に付けることができるでしょうよ。Weblogで恨み言を垂れ流すよりも,その方が余程有益というものですわ。


 最後にcoffeeは「「日中歴史共同研究」なんて、最初から無意味なことはやらない方が良い。」と吐き捨てていますが,…この人の考えている「無意味」ってのは,単に相互理解の可能性を放棄しているだけなので,私は同調したくないですね。
 まあ,政府が絡んだ歴史共同研究の無意味さは,今回のことでよく分かったと思いますので,今後,やっぱり政府が前面に出てくるような形を取るべきではないというのは確かなのですが,これまで政府とは関係ないところでやっていても政府は我関せずだったことを考えると,共同研究をやったこと自体には何らかの意味があったと思うべきなのかも知れません。それでも,今後どういう形が良いのかということについては,まだまだ議論の余地がありそうです。

 さて,産経によると「関係者によると、今回、発表される方向となったのは、「国民の税金を使った研究なので、これ以上延期できない。年内には発表したい」との日本側の強い要望によるという」とか。誰が「強い要望」を出したのかは明らかでありませんが,これは日本側のgood-jobでしょう。まさか中華人民共和国側は,自分にとって都合良いものになるまで引っ張り倒すつもりだったのでしょうか,こりゃこの先も期待できないですな。
 それと,時事に載っている要旨には「これは学術研究であって、論文が最終的に体現しているのは執筆者本人の認識であり、双方が同意した共通認識ではない」と書かれています。これは学術研究としての姿勢と考えると十分理解できますが,一体何の為に今回の共同研究を始めたのかということを考えると,この前置きを入れた段階で,この共同研究は無意味であると述べたのと同じ事になってしまうことに誰も気付かなかったのか,と突っ込みたくなってしまいます。その口で「共同研究は大きな成功を収め、今後の日中の相互理解の促進に建設的な意義があった」とか言わないで下さい,虚しく響くだけですから。


 coffeeなどはこの共同研究自体を批判していますが,ここに日本側の座長として引っ張り出されてきた北岡氏,相当苦労されたと思いますよ*。何せ相手側の座長があんなんですからね,中身の苦労もさることながら,調整とかの面で苦労を一身に抱え込む羽目になったであろうと容易に推測できますからね。
 coffeeの記事に上がっている座長2名の写真,良いコントラストになってますねえ,約2年前の写真とは言え,これは面白い。この写真を取り出してきたのは「良い仕事」と言えるでしょう。



 あ,最後に1つだけ。coffeeさん,この共同研究の経緯を知らない間抜けがあなたの記事のコメント欄に沸いているようで,経緯を説明してあげた方が良かったかも知れませんね。この共同研究,小泉の時に日本側が提案し,安倍の時に始まり,福田の末期か麻生の初期には最終報告が出ているはずだったと。それがずれにずれ込んで鳩山の初期までかかった(しかもまずは「総論」だけ)というのに,これじゃあいくらなんでも,あまりにも北岡先生がかわいそうですよ。




* 共同研究を受け,その成果を取り入れた歴史に関する本を率先して(フライング的に)出版するというのならまだ分かるが,共同研究している中で,自分たちの歴史観だけを盛り込んだ本を出すのは,どう譲って考えても「信義に悖る」のではないか。
* FF[で出てきた記憶が。ここでの意味は「逆立ちしてみたところで口だけ」。
* 北岡自身も相当批判に晒されているが,この人が座長でまだましだったと言える位の仕切りはやっている。少なくとも歩平よりましなのだから。



参考
YOMIURI ONLINE:日中歴史共同研究、「南京事件」は両論併記へ
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091222-OYT1T00026.htm
YOMIURI ONLINE:「戦争理解に困難ある」日中歴史研究委が総論公表
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091224-OYT1T01198.htm
毎日jp:日中歴史共同研究:「戦後」は対象外に…1月にも報告書
 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091225k0000m010112000c.html
asahi.com:「南京で大虐殺」認定 規模は今後の課題 日中共同研究
 http://www.asahi.com/national/update/1223/TKY200912230377.html
MSN産経ニュース:日中歴史共同研究、24日発表 「近現代史」は見送りか
 http://sankei.jp.msn.com/world/china/091219/chn0912191939005-n1.htm
 http://sankei.jp.msn.com/world/china/091219/chn0912191939005-n2.htm
時事ドットコム:日中歴史研究報告書総論の要旨
 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009122400961

外務省:日中歴史共同研究(概要)
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/rekishi_kk.html

正しい歴史認識、国益重視の外交、核武装の実現:南京事件は両論併記にすらなっていない!・「犠牲者30万人」も「数万人から20万人まで」も嘘・「日中歴史共同研究委員会」が24日にも最終報告・事実は日本軍による南京虐殺の犠牲者数0人・支那事変は支那が始めて支那が継続、拡大
 http://deliciousicecoffee.blog28.fc2.com/blog-entry-3681.html


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内 容 ニックネーム/日時
>それに「小堀桂一郎(東京大学名誉教授)」、「大原康男(国学院大学教授)」、「渡部昇一(上智大学名誉教)」、「藤岡信勝(拓殖大学教授)」を数に入れちゃってる。上3人は「専門家」ではないし,この問題について特に業績がある訳でもない(単に「発言している」だけ)。

「大原康男(国学院大学教授)」は、本を出している。

T​he ​All​ege​d '​Nan​kin​g M​ass​acr​e' ​再審「南京大虐殺」
​htt​p:/​/ww​w.n​e.j​p/a​sah​i/u​nko​/ta​mez​ou/​nan​kin​/al​leg​ed/​
コーヒー
2009/12/27 00:52
>コーヒー氏
>「大原康男(国学院大学教授)」は、本を出している。

 情報どうも。ただこれ,私の言うところの「発言している」レベルであると思うのですが(ここで言っている「業績」というのは,一般的な意味ではありません。その点は説明不足でした)。
 つまり,これを数に入れられるのなら,「小林よしのり」だって入れられるし,上の方ももっと数が増えるのではないかっていう疑問なんですがね。
Eric Prost
2009/12/27 10:04

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