Eric Prog

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zoom RSS 率いる人のせいで墮ちていく

<<   作成日時 : 2009/10/31 23:55   >>

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 「自由主義史観研究会」のサイトを久々に見てみると,代表の藤岡信勝が「理事からのメッセージ」の所で何やら書いているので読んでみたのですが,この人に率いられるような「歴史観」が「自由」な訳無いなというのがよく分かる気がした次第です。

 藤岡はこのように書いています(当会について:理事からのメッセージの部分)。
私たち自由主義史観研究会は、日本の学校で教えられてきた歴史に疑問や不満をもち、それを少しでもよくしていこうとしている者の集まりです。私たちは、日本の国を愛していますが、史実の検証にあたっては、公平なとらわれのない目で見ることにしています。

「公平」というのは、事実に即して真実を求めることで、足して2で割ることではありません。南京事件について、@「30万人虐殺説」とA「虐殺はなかった」という説があるとき、中間をとって数万くらいはあったのだろうとするのではなく、史実の検証によってAが正しければAを主張します。

「公平」のもう一つの意味は、広い視野から物事を位置づけて見るということです。明治維新後32年(1900年)の日本の有権者が人口の2.2パーセントだと教科書で教えられて、日本は民主主義の発達の遅れた国だと思っていた人はいませんか。ところが、フランス革命後41年(1830年)のフランスでは、有権者は人口の0.6パーセントに過ぎなかったのです。日本はフランスよりも民主主義の発達は早かったと評価できることになります。

私たちはこういう新しい視点でさまざまなテーマについて歴史を学び直し、教室の授業をつくってきました。私たちのこんなやり方に興味をもたれた方は、ぜひご連絡下さい。あなたの参加をスタッフ一同、お待ちしています。


 引用してみると,間抜けすぎて,突っ込み所満載なのが面白いところですね。
 「私たちは、日本の国を愛していますが、史実の検証にあたっては、公平なとらわれのない目で見ることにしています」ということは,つまり「日本の国を愛してい」る人たちは,歴史に関して「公平なとらわれのない目」は持っていないと言っている訳ですね。
 所謂「自虐史観」の人たちだけでなく,自分たち以外の「愛国者」も歴史に関して正しくないという訳ですが,ではあなた方自由主義史観研究会の方々だけが正しいと言える根拠はどこにあるのですか(少なくとも藤岡の文章を読む限り,その根拠は見出せない)。

 そして,「公平」を「足して2で割ること」だと思っている歴史家の例を挙げて頂きたいのですがね。どちらにも事実として認められる部分があるから「真実はその真ん中にある」と考える人たちの事を言っているのだとしたら,そもそもの所(2つの見方しか提示できない時点)で二分法に陥っていて,到底「公平」と言えないという事に何故気付けないのでしょうかね,この人は。
 藤岡は,成立していない二分法を無理矢理に成立させる為に,世間で言うところの「公平」を「足して2で割ること」と解釈し,その立場で為される言説は「中間をとって」為されたものだとしたいようですが,どちらも曲解でしかありません。

 例として南京事件を挙げ,「史実の検証によってAが正しければAを主張します」という二分法を出していますが,そもそも物事の可能性を2つに絞ってしまっているのに,それが「公平」であると言っていられるのは,厚顔無恥でなければ何らかの意図があるとしか思えない位「不公平」なものです。
 史実の検証によって「足して2で割ること」が実は正しかった場合*1,この「@かAか」の考え方でどのような主張を展開するつもりなのでしょうか,なかなか疑問は尽きません。

 更に間違っているのは,実は藤岡の論理が「@かAか」ではなくて「@か“@の否定”か」になっているという部分です*2。実際には可能性がたった2つ(たった1つの可能性とその否定)とは限らないのに,二分法に持ち込む事によって可能性を絞っているのですが,これは後で述べている「広い視野から物事を位置づけて見る」ことにも反している上に,本来藤岡のような手合いが否定したい筈の「既に南京大虐殺の議論は終わっている」とする考え方とも合致するという,何とも矛盾に満ちたものでしかないのです*3
 このように明らかに何らかの意図が隠されているような視点では,到底「公平」に辿り着ける筈はないのです。そもそも「公平」とか「正しい」とかいう言葉を簡単に使うことは,それであるということだけで批判されるべきものなのですが,藤岡には到底そのような考え方すらないという事が,此処までを見ただけでもよく分かります。


 そして話題を変えて民主主義の話を始めるのですが,「広い視野から物事を位置づけて見る」と言っている割には,「明治維新後32年」「フランス革命後41年」での有権者の割合だけ「日本はフランスよりも民主主義の発達は早かったと評価できる」と簡単に結論付けています。
 明治維新とフランス革命を同列で見る事が出来るのかどうかについての言及無し(民主主義の始まりを明治維新に求めるのは適切なのか)、例として挙げた時点が70年違う(この70年の違いを視野に入れてこそ「広い視野」ではないのか:所変われば状況も変わるという事も視野に入れて貰いたいが)、さらには有権者の割合だけで「民主主義の発達」の度合いを決定付ける(それ以外の要素は無いのか)、このような考慮すべき点をすっ飛ばして,結論を簡単に言ってしまえる「視野の狭さ」は噴飯ものでしかないのですがね。


 結局藤岡の言う「公平」は2つの意味を掲げているものの,掲げた藤岡自身がそれを全く実践できていないという事であり,それが代表している自由主義史観研究会も「公平」であるとは思えないのですがね。
 詰まるところ「こういう新しい視点」というのは,決して視野が広いという訳ではなく,これまでの歴史を批判するのに,とにかく「新しいもの」を持ち出して人を惹きつけようとしているだけだと捉えられても,文句の言えないようなものでしかないという事なのでしょう。
 これを以て「日本の学校で教えられてきた歴史に疑問や不満をもち、それを少しでもよくしていこうとしている者」が集まって何が出来るのかというのは,非常に疑問です。このような者たちが「自虐史観」(「日本の“悪い”*4点だけを取り上げて教える」人たちの歴史観)とかいう単語を作ってきたのかと思うと,この人たちの歴史観も十二分に疑ってかかるべきものであるとしか言えないでしょう。


 久しぶりに「自由主義史観研究会」のウェブページを見てみましたが,この会は内部にいる「自由主義史観の妨害になっている者」を理事から外す事から始めた方が良さそうですね。この間抜けが理事としてこのような矛盾した発言を続けている限り,到底この会を信頼しようなどとは思えないですから(とは言え他の理事の発言を見ていても,この間抜けが間抜けに見えない位とちっているので,そんな事は期待できないのだが)。


 この会も,できたての頃はもうちょっとましな(もっと歴史に興味を持てるような)方向に行ってくれるものと思っていたのですが。まあ藤岡に率いられているようでは,先が知れているということですかね。


*1 あらゆる可能性の中で,このようなことが起こり得ないとは言えない。
*2 「30万人虐殺説」と「虐殺はなかった」だけが可能性としてあげられているが,こうなると2つは対立する概念であり,命題は「@か“@の否定”か」にしかなっていないのである。
*3 「@か“@の否定”か」しかないというのは,問題が「@にある」ということは認めている訳で,南京事件においては「既に終わっている」論と同じ視点である。
*4 こういう場合の「悪い」とか「良い」とかも十分に問われる必要がある。「日本人」をただ褒め称えるだけのものが「良い」もので,「日本人」の過去の行いに少しでも批判を加えるものは「悪い」ものであると決めつける根拠は,今に至るまでほとんど示されていない。



参考
自由主義史観研究会ホームページ
 http://www.jiyuu-shikan.org/
 http://www.jiyuushikan.org/
理事からのメッセージ
 http://www.jiyuu-shikan.org/tokai.html
本会スタッフから一言
 http://www.jiyuushikan.org/tokai_staff.html
 



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