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zoom RSS イリュージョンに彩られた「物語」

<<   作成日時 : 2008/08/17 21:24   >>

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 北京五輪の開会式を巡って,所謂やらせ(事前の仕込み)が発覚し,「世界はペテンにかけられた」と言われています。

 今のところ明らかになっているのは3つ。
 1. スタジアムに向かって歩く巨人の足跡を象った花火,最後の1つ以外は全てCG。
 2. 独唱した女の子は口パクで,音声も別の人のもの。
 3. 中華人民共和国内の56民族の衣装を着た子どもたち,実はみんな漢族。


 何となくどれもこれも問題と言われればそうなのかも知れないとは思うのですが,一体何が問題だったのか,私には分かりかねる部分があります。

 北京五輪に関しての批判は,中共への批判が素となっているものですから,「何か問題がある」から批判されるのではなく,批判したいから「何か問題を見つけ出す」方向で動いている人達が居るということを考えた上で理解する必要があるでしょう。もちろん,中共および中華人民共和国内の人々も,そのような視点で見られているということを念頭に置いて行動する必要があるでしょう。批判されていることに怒りを覚えているだけでは始まりません。


 さて,先に挙げた3点について,私の印象を述べてみます。

 五輪会場に向かって歩いてくる巨人の足跡を象った花火がCGだったということについては,どちらを取っても批判される二者択一に自らを追い込むような演出方法だったような気がします。
 もし本物の花火を打ち上げるとすれば,その場所付近は当然危険防止のために何らかの規制をかけなければならなくなったでしょう。だとすると,五輪会場の付近に規制をかけることができるとすればその権力に,できないとすればその危険性に批判が集まることは容易に想像できます。
 ならば,最初からそのような演出をしなければ良かったのだということになるでしょうが,張藝謀の演出力に世界が騙されたということであれば,単なる批判はそれに対するやっかみの部分があると捉えられてもしょうがないのではないでしょうか。
 後からCGだったと聞いてみて思い返してみると,五輪会場の近くであるにも関わらず人が少なく,まるで都市計画の完成イメージでも見ているかのような感じはしましたね。

 独唱した人が口パクというのは,「声が違う人」という部分も含めてあり得ることだとは思いますが,その理由が見た目の一番良い人と声の一番良い人とを組み合わせた結果という,何とも人間アニメーションのようなものだったのには,苦笑せざるを得なかったのは事実です。

 中華人民共和国内の56民族の衣装を着た子どもたちが,漢族に単に衣装を着せただけだったということが批判されていますが,もし56民族から1人ずつ子どもを選んで出演させていたとしても,選出方法や練習、民族衣装の細部にでも何らかの不備を見つけて批判していただろうことは想像に難くないので,いっそのこと劇団から56人を選んで民族衣装を着せてしまった方が,統制も取れて演出上は良かったような気もします。

 まあ「やらせは良くない」という考え方も分かりますが,花火がCGだったわけですから,開会式の全てが「ヴァーチャル・リアリティ」のようなものだったのだと考えれば,人間がアニメーション的に扱われても,子どもが着せ替え人形的に扱われても,全ては仮想世界の中の出来事だということになってしまうのでしょう。
 ただ,北京五輪の開会式は,総体としては良くできていたのかも知れませんが,都合の良いパーツを都合の良いように組み合わせてできあがったもののような気がします。しかもそれが,人間の姿と声を分離するような所(スタントマンを使うようなシーンではお馴染みなのですが)にまで徹底していたため,そこに何となく人間味が感じられない,何とも不気味な感覚を覚えたが故に,感情的な批判が噴出することになったのではないでしょうか。


 しかし,そもそも五輪の開会式など,ナショナリズムが最も強く表れる(ナショナリズムを最も強く表しやすい:競技と違って開催地側に絶対的な優位性がある)ものなのですから,そこで紡ぎ出される「物語」に対して,単にナショナリズムが現れていると文句を付けるのは,分かりやすいがナイーブな感が否めません。それに,そこで表現されるナショナリズム「物語」が,「中共にとって」都合の良いものであるのも,2001年に北京が選出された時点で分かりきっていたことであり,別に新しい切り口ではないのです。

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