Eric Prog

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zoom RSS 当事者無き同床異夢

<<   作成日時 : 2008/04/30 05:49   >>

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 「同床異夢」という言葉,結構有名なものです。
 その逆の意味で,「異床同夢」という造語が使われることもあります。

 昨今のチベット問題(「騒乱」という言葉はふさわしくない)に関する言説を色々見ていると,同床異夢な状況と異床同夢な状況とが混在している様子を見ることができます。

 ここで気になるのは,表面ではチベット支援を謳っていながら,実際には自分に都合良くチベットを利用している反中共の勢力です。こういう手合いは,自分に都合悪くなると,チベットの指導者さえも役立たず扱いしてしまいます。
 その代表例coffeeがこの問題で見事に崩壊した,と言ってしまって良いでしょう。この記事は,記事の基になっている集会そのもののレベルが低いとは言え,レベルが低すぎてひどいものです。

ダライ・ラマ14世が、「独立を求めていない。求めているのは高度な自治だ。」というのは、馬鹿な話だ。

ダライ・ラマ14世は、国家というものをいったい何だと考えているのだろうか?!

私は、ダライ・ラマ14世に、「千年以上前からある国家の独立を勝手に放棄するな!」と強く抗議したい!

また、ダライ・ラマ14世の「非暴力主義」では何も解決しないことも強く訴えたい。


 まず,ダライ・ラマに説教垂れられるほどに,ダライ・ラマの発言の意味を理解しているのか問われるべきでしょう。
 「高度な自治」が何を意味しているのか,なぜ中共が(酒井信彦が間違っていると評する)ダライ・ラマをことさらに敵視するのか,なぜダライ・ラマが非暴力主義をインドで述べたのか。これらのことについて,この集会に参加した人達はおそらく説明できないでしょう。

 まず,「高度な自治」という言葉,そもそもなぜ中共はこれすら呑むことができないのでしょうか,私の考えを以下に述べます。
 もしダライ・ラマが中共に戻り,チベットで「高度な自治」を実践するようなことになると,中共が押し付けてきた価値観,また,国内を画一的に支配してきたこと,これが崩壊(少なくとも弱体化)してしまいます。
 こうなると,台湾にしてもウイグル(東トルキスタン)にしてもその他の民族にしても,「中共によって押し付けられた価値観」から脱却しようとするでしょう。これは多民族国家を標榜しながら,実際には一つの価値観の下に国家をまとめ上げる「国民国家」体制を推し進めてきた中共にとって非常に脅威となるのです。
 中共からの独立ではなく,中共の中で「高度な自治」を求めること,実はこの方が中共にとって脅威となることが分かれば,ダライ・ラマを簡単に馬鹿にできないことくらい理解できるはずなのですが,coffeeはそうではない。なぜなら,こういう手合いとチベットとは現在「同床異夢」の状態にあるからです。coffeeはチベットを見ていない,チベットを媒介にしているものの,実際には日本しか見えていないのです。


 ダライ・ラマに国家について問うていますが,それをcoffeeに逆質問したら,その無意味さが分かるのではないかと思います。
 さらに「千年以上前からある国家の独立」という部分に至っては,苦笑せざるを得ません。見事なまでに中共と同じ国家観で述べています。もともとこのような「国家」,せいぜい200年程度の歴史しかもっておらず,アジアに至ってはその歴史はもっと短いのです。
 coffeeや集会の参加者が想定している国家観,それはおそらく国民国家でしょう。しかし,それは中共の報道官秦剛が「チベットは古くから中国の一部であり,“チベット独立”なんて言葉は100年前にはなかった。チベット問題は中国の内政問題であり,中国の主権の問題だ」と述べた国家観とかなり合致するものがあります。
 そもそも秦剛の言っていることの矛盾点は,前段と後段の「国家」の意味が違うことにあります。古く「中国」は朝貢貿易をしており,その影響下にある地域は,例え独立国であっても「中国」の一部とみなすことができました(その辺りを実にナイーブに表現しているのが王柯です)。私見ではありますが,その意味で言う「中国」は,国民国家ではなく封建的な権力の集合体としてみるべきでしょう。ところが,現在の中共は単なる国民国家であり,その支配地域は「中国」における中華王朝の支配地域と同じでしかないのです。
 そのような国家観と同じ視点でチベットを見ること,それはとりもなおさずチベットを中共と同じ視点で見ていることであり,チベットを媒介とした中共とのpower gameにチベットを引き込むことになっているのです。これが本当にチベットのためになるのでしょうか。


 「非暴力主義」では何も解決しない,短期的にはそうでしょう。しかし,暴力主義で中共に反発した結果,チベットはどうなったのでしょうか。また,現時点でチベットが暴力に訴え出て,中共を上回るpowerを(つまりは中共に勝つだけの軍事力を外国の支援によって)得ることはできるのでしょうか。
 これは単純な話ではありません。中共のpowerにpowerで対抗してやるからには,必ず中共を駆逐しなければならない。「必ず」という見込みがあって初めて「チベット独立回復戦争」を起こすことができるのです。失敗すれば(中共の姿勢からして)今度はチベットが完全に滅ぼされるのですから,この場合見込み発車は許されないと見るべきです。さて,現時点でその見込みはあるのか,ないでしょう。国連を手中にしているのは中共であり,その限り国連がチベットの味方に付くことはありません。アメリカにせよロシアにせよ,中共との関係だけでチベット問題を見ますから,現時点でチベットに付く理由を見出すのは困難でしょう。
 暴力的手段の成功の見込みが立たない限り,またそれが中共と同じ方向の思想である限り,単に暴力的手段を訴えても現実味を持ちません。ならば,中共に対してアンチテーゼで攻める,つまり非暴力主義,対話主義,多価値観主義を掲げ,中共に呼びかける。中共はこういったものが自らを内から崩壊させかねないものであるから,簡単には乗ることができない。現に,ダライ・ラマとの対話に応じる振りをしながら,何とかお茶を濁そうと必死になっている,こういったことに注意を払うべきです。


 そもそもこの集会,方針が「チベット支援」ではなく「反中共」でしかないことに注目すべきでしょう。つまり,チベットを媒介とした中共とのpower gameに目的があるだけなのです。power gameになっていること,これ自体が,実はチベットに対して同じ幻想を見ている「異床同夢」状態になっているのです。
 目的は中共の力をそぐことでしかなく,チベットがどうなろうと,それは関心の外にあるのでしょう。どうせチベット人はこういう活動の中核に入れてもらえないのですから。

 ならば,チベットの旗を掲げ,チベットの味方になった振りをし,チベット人に同情している風を見せながら,実際にはチベットなどどうでも良いと考えている人達が取っている行動,このようなものに共感できるはずもありません。


 coffeeは「支那が外国(チベット、東トルキスタン、内モンゴルなど)を侵略して大虐殺しているのに、「人権問題」などというのは、ピント外れも甚だしい」とも言っています。もはや問題点をどこに置いているのか疑わざるを得ません。何を問題にしたいのでしょうか。



参考
正しい歴史認識、国益重視の外交、核武装の実現:『胡錦濤来日反対…(中略)…非暴力主義では何も解決しない!
 http://blogs.yahoo.co.jp/deliciousicecoffee/32569322.html

中国政府網:2008年3月27日午後に行われた秦剛の記者会見(※簡体字中国語)
 http://www.gov.cn/xwfb/2008-03/27/content_930515.htm

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
>coffeeは「支那が外国(チベット、東トルキスタン、内モンゴルなど)を侵略して大虐殺しているのに、「人権問題」などというのは、ピント外れも甚だしい」とも言っています。もはや問題点をどこに置いているのか疑わざるを得ません。何を問題にしたいのでしょうか。

支那によるチベットなどの侵略と大虐殺を問題にしているのだが、何か(・0・)?
deliciousicecoffee
2008/05/01 00:52
>coffee氏
 件の集会の参加者(もしくは主催者)は,
 ・中共とのpower gameにチベットを利用しているだけだ
 ・考え方が中共と同じだ
 ・実際のチベットには無関心だ
 ・チベットの旗を掲げている偽善者め
と言っているのですが。

 coffee氏なら満洲国の結末を知っていると思いますが,チベットに対して同じことを繰り返すのか,とも言いたいのですが。
Eric Prost
2008/05/01 08:22

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