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zoom RSS 「反中」が正しい訳ではないが…

<<   作成日時 : 2008/02/29 01:04   >>

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(本記事における中国は中華人民共和国の略称)

 …頼みますから,「反中」を活気付かせるようなバカな発言を繰り返すのは止めていただきたい。この時期に,専門家が「サルでもできる」類の基本的な発言をするのは,全くの時代遅れです。また,日本人がメディアに踊らされていると思っているとすれば,「メディアはおとなしすぎる」という不満がWeblog上に結構あることを考えると,それは勘違い以外の何者でもないのです。


 1つ目,Weblog「段躍中日報」の2月27日付記事で,(2月)25日付の『京都新聞』に掲載されていたという天児慧早稲田大教授の記事が紹介されていました。

 段躍中日報にはかなり詳細な(文字が問題なく読める)写真(クリックすると大きく表示されます)が載せられているので,これで十分記事の内容は確認する事ができますが,私は京都新聞を購読していない(し,図書館に行けばすぐにでも読めるような状況にもない)ので,現在京都新聞を購読しているという知人にその記事の存在を確認してもらっています。以下の文章は,記事が存在するという前提で書くものです(掲載の文章自体に間違いがなければ,「掲載媒体の違い」は実は問題にならないのですが)。

 記事を読んでまず感じた事,…天児さん,黙っとってくれんかな。バカが騒ぐと,また「反中」が活気付くから。
 まず,いくら「今月十一、十二日上海で、ある学術会議に参加していた」ことを書きたかったとしても,この時期になってこの程度の記事は遅すぎますし,分析が足りなさすぎますわ。
 「中国側から示唆発言があった」という「日中関係の破壊を意図した何者か」が,日本と中国のどちら側に居る事を想定した発言であるのかということに思いを致していれば,「日本人説は考えにくい」などと,のほほんと言っておられるものではないでしょう。
 中国側の発言は,明らかに日本人の犯行を前提にしたものであり,最近の「毒物が中国で混入した可能性は極めて低い」発言と合わせれば,「日本側が勝手に騒いでいるだけで,こちらは迷惑しているのだ」という感情の現れなのです。
 「仕掛け人」を中国に想定した分析をしても,如何に中国側を説得するかという方法論なしには,何の意味もないでしょう。約1段分(記事全体の1/5にもなる量)を使い,自分が中国の学会でどう言ったかを紹介してくれていますが,何の方法論も,何の具体性もない,しかも単なる希望的観測をくっちゃべってきたのかと思うと,唖然とせざるを得ません。
 さらに,中国研究で名を馳せている天児慧ともあろう者が,何の具体策もない一般論を,よりにもよってこの時期に,京都新聞という(五大紙に含まれない)媒体に,載せるという事は,極めて悪く言うのですが,バカの上塗りとでも言うほかないものでしょう。

 この間の情報からどうやら「ギョーザづくり」において混入されたというよりも、袋詰め、輸送の工程での混入という可能性も強くなってきた。となればかなり意図的な、何かを狙った犯罪ということになる。

 第一,この時期にもなって,「故意ならざる混入」の可能性に一言も言及しないなんて,中国側の情報を鵜呑みにしているという批判をされても,文句を言えないものです。確かに,公開された天洋食品廠の内部画像だけ見ると,故意以外の混入の可能性は考えられないという結論に至るのかも知れませんが,それこそ鵜呑みというものではないのでしょうか。
 さらに,記事中では具体的な名称が全く挙げられていません。呼びかけ通り「慎重」と言えば聞こえはよいですが,それではこの問題に踏み込んで,掘り下げていくという事は難しいと言わざるを得ません。表層をさっと撫でて,問題を乗り越えた気になろうというのでは,根本的な解決になっていないのです。それはまさしく,「文化交流」の名の下に,歴史認識に関する問題を素通りしようとした昨年の日本の姿勢を,「日中友好」の名の下に,中国製食品の安全性に関する問題を素通りしようとする今年の中国の姿勢に置き換え,支持するという事に他ならないのであり,いずれにしても,日中関係を表層的なものでしか捉えていない,何とも中身の薄いものにしてしまう事になるのです。


 2つ目,通巻10号ですから,あまりその存在を知っている人もいないのではないかと思うのですが,「中国政府公認誌」と銘打つ『月刊中国NEWS』という月刊誌(…題名で分かる)を,研究の必要上よく買っています。
 最近発売されたばかりの2008年4月号の表紙には“中国メディアの目で見た「毒入り餃子」事件!”と大きく書かれています(それで記事4ページ(pp.32-35)ってのは何でしょうかね。『WiLL』でも特集の頁数はもっと用意されているというのに…)。
 中身は簡単な話,天洋食品廠の管理体制が厳しいという事,天洋食品廠の方に不審な点がないという事を改めて指摘,さらに,「製品の90%が日本向け」とか「工場の利益が薄い」とかで,日本向けに特化している事を強調したものです。

 これまでのところ日中両当局の調査結果は、「毒餃子」が生産加工の過程で生まれた可能性を基本的に排除している。それでもマスコミは、天洋食品の前から去ろうとしない。

 …えーと,「毒餃子」が生産加工の過程で生まれた可能性は,大方排除されていて,(警察も含めて)日本人が主に疑っているのは,梱包発送の過程です。その工程を天洋食品廠の中でやっている以上,天洋食品廠からマスコミが去らないのは当たり前の事です。
 引用部分の後には,日本側で,患者の吐瀉物と製品の包装袋からメタミドホスが出たが,同時期に生産された餃子のサンプルからメタミドホスは出ていないと書かれています。これは現時点では否定されるべき情報かと思いますが,(好意的に見て)この記事が書かれた時点ではそうだったのだとしておきましょう。未開封のサンプルからメタミドホスが検出されたという情報は,そんなに遅いものではなかったと思いますが,その辺はこの記事がいつ書かれたものか,あるいはいつの情報に基づくものかに関係する事なので,読者には量り知る事のできないものです。

 確かに中国人の中には、日本のメディアへの不満をほのめかす者もいる。だが問題の出所が確認できない段階で、こぞって中国の業者を非難すれば、何らかの先入観があると受け取られかねないのではないか。

 これは記事の結びの文章ですが,もはやここまで来ると,日本人に向かっての恫喝とも取れる内容です(中国に批判的な人なら,間違いなくと言っていい位,そう取るでしょう)。そもそも,なぜこぞって日本のメディアが中国の業者(即ち天洋食品廠)を非難したのか,このことを考えずして,「何らかの先入観」を理解する事はできないのですが,その視点に全くと言っていい程欠けています。
 もちろん,ここで「何らかの先入観」と呼ばれているものは,メディアに間違いなく存在するでしょう。それは,「中国産」の食品で,これまでどのような問題が日本で報じられてきたのかという事を精査すれば分かる事,つまり,残留農薬の可能性,毒物や劇物が混入した可能性,日本では考えられないような材料から作られる調味料の問題,人体に有害なものが食品に平気で使われているという実態,さらには何者かが毒物を混入できた可能性等々です。でもそれは,ある程度やむを得ない,というか,至極当然の「類推」とでも言うべきものであって,特に意図したものではないでしょう。
 また,「問題の出所が確認できない」と言っていますが,日本のメディアは一応問題の出所を中国と推定しています(警察もかなり早い時点で問題の出所を中国と推定しました)。その理由は,メタミドホスが検出された「毒餃子」が流通している複数の地域から出てきた事,また,パッケージ未開封の餃子からも検出された事,そして,メタミドホス溶液はパッケージを透過しないという事です。それらを通して,問題の出所を中国と推定した上で論を進めているのです。
 また,「こぞって日本のメディアが」の部分には,日本のメディアに対する「想像力の問題」も浮かび上がってくるように感じます。日本人には自明の事ですが,日本のメディアは一枚岩ではなく,相互に批判し合っているのであり,今回でも「こぞって」批判している訳ではなく,その姿勢も多様である事を理解して頂きたいです。そのために,中国メディアに,日本のメディア界の相関関係を説明していく必要があるのかも知れませんね。

 最後に,この記事でも欠けている視点が1つあります。この工場はどこを向いて商売をするべきなのかということを問う視点です。そもそも製品の90%を日本向けに生産している工場でありながら,問題が起こった時に,消費者である日本人が(おおむね)納得できるような,最悪でも理解できるような説明ができなかったというこの体たらくは,一体どういう事なのかということは,もっと問われて良いものです。
 この視点,これまでは中国に進出(「侵略」と読み替えたい人はそうして下さい)した日本企業に求められていた視点です。莫邦富氏は,そのような企業に対して,よく「地元の一員になれ」と言います。今回の天洋食品廠は,中国河北省にあるのであって,日本に進出した企業とは言えないのですが,日本向けに商売している以上,例え日本企業の発注を受けて生産しているだけだとしても,日本の消費者の動向や要求をつかむ必要があるでしょう。
 ましてや今回のように,自社の製品によって健康被害の問題が起こった場合,日本ではどのような対応が求められるのかという事をリサーチしておく必要がありました。例え自社に責任があるかどうかわからない状態であっても,実際には自社が被害者であったとしても,この場合,自社製品を食した事によって健康被害を受けた人が居る以上,自社の弁護より先に,被害を受けた消費者を気遣う姿勢が,日本では求められるということを理解しておく必要があったのです。
 結局それができなかった事が,天洋食品廠への批判をさらに強める結果となったのですが,そのことについて,「中国メディア」はあまりにも無関心です。さすがに上述の莫邦富氏は,朝日新聞土曜版の中で天洋食品廠を批判していましたが,それ以外に,この「日本の消費者を重視する」という視点から,(在日,在中を問わず)中国人が天洋食品を批判した意見を見かける事がないのです。


 親中派の方々,バカな発言はこれくらいにして,「反中」の人達をも刮目させるようなご提案をお願いしたいものです。「反中」がまともだと思えるような言論界の状況は,「親中」の意見にろくなものがないという事に起因しているのですから,「中国の言う事にも耳を傾けよう」とか「中国製品なしに日本の食生活は立ちゆかない」(『中文導報』2008年2月14日号)という事ではなく,どのような企業姿勢で臨めば,中国の企業が日本で受け入れられるようになるのかという事を,抽象的にではなく,具体的に提案しなければならない時期に来ているようですから。
 そのためには,まず,天洋食品廠は会見をやり直す事です。今からでも遅くはない(十分遅いけど),日本の消費者を気遣う事を一番に,自己弁護を二番にした会見をする事。これなくして,天洋食品廠の信頼回復はあり得ません。


 …あ,これで終わったらシャレになりません。フォロー入れとかないと。
 まず,絶望した,「学会に行っていて情報が遅くなっている天児先生」に,絶望した!
 そして,まあ中国メディアには「禁則事項」が多いのかも知れませんね,重要な事項になると,いくらメディア自身が公表しようとしても,発言自体は「禁則事項です」の繰り返しになるのかも知れませんから。

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