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zoom RSS 消費者の視点を了解していない企業の例

<<   作成日時 : 2008/02/15 23:53   >>

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 新聞報道の面積こそ少なくなってきているものの,ここ2週間程の日中関係における最大関心事は,「中華人民共和国製冷凍餃子の中毒事件」でしょう。
 そもそも,言葉遊びをするつもりはないのですが,今回の事件をどう名付けるのが適当なのでしょうか。「毒餃子」を用いるのは,何となく「製造段階での故意性」を感じさせるので,現時点では却下するべきですし,「殺人餃子」に至っては(まだ死者も出ていないので)論外。

 まあ言葉の問題はさておき(またの機会に),2/15になって,冷凍餃子の製造元である天洋食品の底夢路工場長が会見しました。「日本の消費者をお見舞いしたい」と気遣う様子を見せた一方,「我々が最大の被害者」と述べたそうです。

 「身に覚えがない」と主張するのは勝手ですし,全てが明白になっていない現時点では,その主張を否定する根拠を持ち合わせていませんが,底工場長は一体誰に向かって話をしているのか,その点は疑問として残ります。
 なぜなら,日本の消費者の感覚としては,この話を聞いた日本の消費者が,「はいそうですね,あなたも大変ですね」と納得してくれるとは,そうそう考えられることではないからです。

 中華人民共和国の企業として,何も明らかになっていない段階で自らの責任を認めるような発言はできないということかも知れません。確かにそのようなことをすれば,責任を認めたことになり,その後の事態の進展に関わらず不利を背負い込むことになりますから,中華人民共和国ではそのようなことをしないのが普通だという主張もあるかも知れません。
 しかし,天洋食品は日本向けの商品を製造、販売していて,今回は日本向けの商品に問題が生じたのですから,中華人民共和国でどう評価されるかという以前に,日本でどう評価されるかということに目を向けておく必要があります。
 その視点から考えれば,今回の工場長の記者会見は失敗だったと言わざるを得ませんし,天洋食品には日本向けに商品を出荷しているという自覚が不足している,もっと厳しく言えば日本向け商品を作る資格がない(少なくとも乏しい)ことを如実に示してしまったのです。

 中華人民共和国の企業を相手にしているのだから,相手が異文化なのだから,そこまで厳しく言うことはないと思う人がいるとすれば,それこそ中華人民共和国の人に対して失礼であると反論しましょう。
 なぜ私がそこまで言うのか,それは,「反日」事象を修士論文で扱った際,日本企業が中華人民共和国に進出した後,現地では必ずしも歓迎されていない実情を伝える文献に出会うことがあったからです。
 中華人民共和国に進出した日本系企業に対し,莫邦富氏は「地元の一員として活動している」ことを意識せよ(『中国は敵か、味方か』、154)と言っていますし,徐向東氏も日本企業には「海外市場への適応力」が不足している(『中国で「売れる会社」は世界で売れる!』、4)と指摘しています。このような指摘は,日系企業が「日本文化」という殻を破り,中華人民共和国に根付いた企業となることを望む姿勢であり,よそ者としての意識を捨てるべきだと考えることができます。

 私が読んだ文献は,実際に中華人民共和国に進出し,現地で活動する日本系企業の話で,中華人民共和国という地に如何に融け込めるかということを考えさせるものです。今回の天洋食品は,外国向け製品の製造、販売をしている会社のケースですから,直接応用できるものではないのかも知れませんが,日本向け製品を製造、販売している外国企業が,不祥事(今回の場合日本では,例え企業自身に責任がなくても,そう呼ばれるケースです)を起こした際,誰に向けて,また,誰の反応を見越してメッセージを発するべきなのかということを考えさせられるケースなのです。
 その点で考えれば,今回の天洋食品の底工場長の会見は,この企業が消費者の視点に立てていないことを示してしまっています。もちろん,この企業は日本の企業と取引をしているので,製品を消費する者の顔を直接見る機会がありません。しかし,それは消費者視点に立てないことの理由にはならないのです。
 日本向けに限らず,企業は消費者のことを考えて商品を製造する必要があるのですから,今回の天洋食品はその点で失格です。また,外国向け商品を製造する日本企業も,天洋食品を反面教師として,現地の消費者の視点に立った言動をする必要があると言うことを学ぶ良い素材であると思います。

 また,日本のメディアが必要な情報を伝えきっていない可能性もあり,メディアのバイアスの問題が指摘されるかも知れませんが,少なくとも日本では,それも計算に入れた上で対処する必要があります。メディアを利用して批判をかわそうとしている企業が,自らに有利なようにメディアを使えなかったからとしても,それをメディアのせいにするのは筋が違うのですから。

 それにしても,莫邦富氏も徐向東氏も,自らが指摘した日系企業の問題点が,これほどまでに早く中華人民共和国の企業に,しかも日本相手の企業に跳ね返ってくるとは,果たして執筆時に予想し得たでしょうか。前提条件が多少違うとは言え,2氏の意見は,そのまま天洋食品に投げ返すことができるものです。

(今回は五大紙と時事通信のネット記事を参照。urlはそれぞれのトップページから入っていったので,特に示さない)

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