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zoom RSS またしても「ろくでもない」郵政の改革

<<   作成日時 : 2007/07/02 00:34   >>

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 7/1から、郵便サービスの一部にまた変更が加えられることになった。企業や大口の顧客が出す広告郵便物及び区分郵便物の料金別納郵便において、料金納入が切手ではできなくなったのだ。
 これに関して、郵政公社は1月11日付でHPに情報を挙げている。しかし、タイトルが「広告郵便物等の料金支払方法の変更について」(http://www.post.japanpost.jp/whats_new/2007/topics/shiharai_henkou.html)である。私も読み飛ばしていたため、7/1付の新聞を見て初めて知ったという体たらくである。
 内容は、「広告郵便物及び区分郵便物を料金別納とする場合、料金支払い方法から切手による支払いを除く」というものである。
 公社の本音は、「大量に切手を持ち込まれて、それに一々消印押してたら、その手間とか切手の数勘定とかやってられないから、もう現金*1だけにして楽したい」ってところだろう。
 

 しかし、内国郵便約款を読めば分かるが、本来郵便料金は切手で前納(前払い)するものであり、その場で現金で払うのは例外であり、便宜的措置に過ぎないものなのだ。切手を料金納入の手段から除くというやり方は、本筋から外れることになる。
 まあ、「料金別納郵便」そのものが例外的なものであるから、料金支払いのシステムも例外的で良いのだという言い方もできよう。しかし、問題は他にもある。
 HPの記載を見ると、「広告郵便物及び区分郵便物について」とあるから、個人が出す料金別納郵便(10通以上で料金別納郵便にできるから、ちょっとした数の郵便を出す人なら使うことができる)には適用されないと見ることもできるが、内国郵便約款のどこに「広告郵便物及び区分郵便物」と個人の郵便物の料金支払い方法を分ける基準があるのだろうか。一般の郵便物と広告郵便物、区分郵便物を分ける基準は存在して、料金割引の詳細が記されている。しかし、広告郵便物や区分郵便物については、支払いを料金別納、料金後納、料金計器別納にすることと書いてあったのであり、その支払い方法は内国郵便約款に基づいていた。
 今回の措置が非常に姑息であるのを示しているのが、内国郵便約款の変更箇所である。郵便料金に関する、第46条及び第52条にはその旨が記されていない。ではどこに記されているのかというと、条文の後にある「内国郵便約款(料金表)」の第3表の「1の(2)の注2の(2)」及び「2の(1)の注の(2)」に「料金別納(料金を現金等で支払うものに限ります。)、料金後納又は料金計器別納としたものであること。」とあり、これがそうである。
 蓋し、郵政公社側からしても、かなり無理があるのを承知の上での措置であろう。バラバラで大量の切手を持ってこられるようなケースがあるとしたら、それはやってられないということなのかも知れない。それに、広告郵便物や区分郵便物を切手で支払おうなどという業者の場合、朝日新聞でも述べられていたが、切手を金券ショップなどで安く仕入れ、郵便料金の割引と併せて、差額をさらに稼ごうという意図を持っている場合が多いだろうから、利用者に強いる負担そのものは小さいと言える。
 ちなみに、朝日新聞に載っている「切手販売業者から額面の5%引きで切手を調達し、一度に1000万円分の葉書を発送する」業者の場合、1回当たり50万円の経費節減となるらしいが、1000万円分=20万枚と考えてはいけない。大口郵便物と書かれている広告郵便物や区分郵便物は、それ自体料金の割引があるから、実際には広告郵便物(DMの場合はほぼこちら)なら28万枚以上発送している計算になる。

 しかし、約款の本文に書けないようなところで利用者の便宜性を失わせるのだとしたら、それはやはり「サービスの改善」とは言えない。
 郵便局側からすれば、大量にバラ切手を持ち込んで郵便を出された日には、たまったものではないだろう。しかし、その手間というのは、本来「郵便局の中での話」であるから、郵便局の「中」で処理できる問題である。利用者の料金支払い方法の1つを完全にシャットアウトしてしまうのは、「あまりにも自分勝手」と言われても仕方ないことだろう。
 折衷案はないのか、例えば、「バラ切手は指定(or任意)のシートに貼って、100枚単位にしておいて下さい」とか、「あらかじめA4(など)の紙に貼って、その枚数と額面の合計を書いておいて下さい」とか、切手別納を遮断する前にやることはあったはずである。
 このような手段は、個人が出す料金別納郵便にも適用しようと思えばできるのだから、郵便局側の手間も随分省く事ができる。ものは考えようではないのか。

 内藤陽介氏が朝日新聞にしたコメントでは、公社側の思惑がこのように推察されている。

 これまで市中にため込まれた切手が一斉に使われたら、収入も計上できないまま郵便サービスを提供するただ働きになる。公社側のそんな利害だけで別納制度を変更すれば、過去の切手乱発のツケを収集家やDM業者に押し付けることになる。
 
 もし、公社が切手の一斉使用によってただ働きになると本当に思っているとしたら、それは社会保険庁と同じ考え方に立ってこれまでやってきた、ということである。切手は、郵便切手として使う限り、どれだけ時を経ようと、額面の価値しか持たない。当時の葉書1枚分の額面であっても、現在の葉書1枚分に換算してくれるようなことはないということだ。
 つまり、どれだけ大量に切手を売ったとしても、郵便料金がどのように変動しようとも、切手の収入それ自体が影響を受けることはないのである。だから、将来郵便が出される時の収入を100%の価値で先取りしているのと同意であり、今さらになって「ただ働き」はない。切手収入を先使いしてしまって、今になって切手を使われたら困るなどと言うのは、「年金の積み立てについては、払う時になってから考えればよい」と言っていた社保庁と何ら変わるところがない。もうすぐ民営化という時に、愚にも付かぬ官僚体質がはっきりと出てきた訳だ。

 奇しくも7/1付朝刊の全面広告で力説していた「民営化後も変わらぬサービスを提供します」という文言、2007年に入ってからの郵政公社の「改革」を見ていると、全く空虚に聞こえてくる。確かに、公社の看板が掛かっている間に色々と変えてしまえば、民営化後のサービスは変わらなくなるかもしれない。しかし、それは詭弁というものだ。

 さて、切手と言えば、朝日新聞の6/15付朝刊の記事によると、NPOの「ひょうご消費者ネット」が汚損*2切手の交換ができるように日本郵政公社に申し入れをしたところ、公社は各郵便局に「汚染、毀損*3切手の交換・使用を認めないように」と通達した。これも言及する価値がある。
 そもそも、ひょうご消費者ネットがなぜそのような申し入れをしたかと言えば、郵便局の窓口で、職員が何とかして汚損、毀損切手を使えるように工夫してくれていたのだが、その措置が職員によってまちまちだから、消費者の利益になるように統一して欲しいと考えたからである。結果からすれば、裏目に出た訳で、「消費者の利益」には程遠くなったのである。
 法律や約款の条文からすると、妥当な措置とも言えるが、公社は自分の利益になるように徹底した訳で、「消費者無視」と批判されるのは避けられないだろう。朝日新聞で挙げられているところによると、公社は「消印の跡がついていない半分だけをちぎって持って来られた場合、使用・未使用の区別がつかない」や「使用済み切手を細工して未使用に見せかけるなど犯罪を誘発する恐れがある」と危惧しているようだが、見抜く目を職員に養わせたり、交換の基準を作ったりするのが面倒なだけであろう。
 ここまで良く言って官僚的な、悪く言えばモラルに欠けることばかりしてくるのなら、こちらにも考えがある。往々にして起こっている消印漏れの切手は、汚損、毀損していない以上、もう1回使っても良いのだな? これまでは「モラルの問題」だと思って再使用など考えもしなかったが、これだけ相手が機械的に対応してくるのなら、こちらも機械的になるべきだろう。

 郵政民営化は、現時点で見る限り、何一つとして(本当に何一つとして)我々に利するところがない。小手先だけで「いかにも変わったような感じ」を演出し、地方の郵便局に負担を押し付け、都市部で幹部たちがぬくぬくとしている様子が見てとれる。
 今一度、郵便制度が国家にとってどのような意味合いを持つ制度であるのか。某猫ちゃんの影に怯え、後ろ姿を追いかけ、出し抜こうとするだけではなくて、考え直さなければならない時期に来ている、いや、考え直さなければならない時期に、郵政民営化というはっきり言ってしまって間違った結論を推し進めた無能者がいたために、郵便制度の持つ意味について検証しなかったツケが回ってきたと言うべきか。


*1 現金と一部の有価証券
*2 郵便法や内国郵便約款には「汚染」と「き損」と書かれている。ひょうご消費者ネットはこれを併せて「汚損」と表記している。
*3 条文の文面では「き損」と書かれているが、ここでは全て漢字にした。

参考:内国郵便約款(http://www.post.japanpost.jp/service/yakkan/1-1.pdf より)

(郵便切手による料金前納)
第46条 郵便に関する料金は、この約款で定める支払方法による場合を除き、郵便切手でこれを前納していただきます。
2 郵便に関する料金のうち公社が別に定めるものは、現金等で支払うことができます。
3 郵便物の料金及び特殊取扱の料金を郵便切手で前納するには、郵便物を料金別納とする場合及び内容証明料(点字内容証明とする場合の書留料を含みます。)を支払う場合を除き、郵便切手を郵便物(荷札を含みます。)の表面の左上部(横に長いものにあっては、右上部)にはり付けていただきます。ただし、その表面の左上部又は右上部に郵便切手をはり付ける余白がないときは、その表面の適宜の箇所にはり付けることができます。
4 郵便物にはり付けた郵便切手の量目は、これを郵便物の重量に算入します。

(汚染等された切手類)
第48条 汚染し、若しくはき損された郵便切手又は料額印面の汚染し、若しくはき損された郵便葉書若しくは郵便書簡は、これを郵便に関する料金の支払のために使用することができません。
2 郵便物の配達証がはがれた定形小包包装物は、これを郵便に関する料金の支払のために使用することができません。


(別納料金の支払方法等)
第52条 料金別納とする郵便物(以下「別納郵便物」といいます。)の料金及び特殊取扱の料金は、差出しの際、料金額に相当する郵便切手又は現金等で支払っていただきます。
2 別納郵便物は、公社が別に定めるところにより差し出していただきます。
3 別納郵便物には、その旨を示す公社が別に定める表示をしていただきます。
4 別納郵便物には、通信日付印を押印しません。


参考:郵便法(法庫(http://www.houko.com/)を参照した)

(無効な切手類)
第35条 汚染し、若しくはき損された郵便切手又は料額印面の汚染し、若しくはき損された郵便葉書若しくは郵便書簡は、これを無効とする。

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内 容 ニックネーム/日時
最近、切手の印刷が悪くなってませんか?
買って一ヶ月程の切手です。
窓口が忙しそうだったので、のり等で濡れた手で売ったのではないかと思います。
買ったままなので、使えると思っていたのですが。
窓口の人によっても判断が違うと言うのも問題ですよね。初めの人はよくて、次は1mmでもにじんでいたら駄目と言われました。簡単に使えなくなりますよね。コメントしてもいいかな?と思いながら書かせていただきました。
mn
2011/09/10 10:27

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