Eric Prog

アクセスカウンタ

zoom RSS 「鋼鉄三国志」の話

<<   作成日時 : 2007/05/06 17:34   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

 先の「らき☆すた」の続き、今度は「鋼鉄三国志」の話。

 これを見ようと思った理由は、何のことはない、「三国志」と名前が付いていて、しっかり『三國志』のプロットを使っているからだ。別にストーリーにもキャラクターにも、原作にも声優にも興味を持っていた訳ではない、というか調べてもいない。
 公式サイトを見た時、「我々が知る実際の中国史とは別の」、「幻想古代中国」みたいなことを言っていたが、それは全く「逃げの一手」でしかないな。今までこのような宣言をした作品に、佳作のあった覚えはない。まあ、原点を汚さぬ為の精一杯の言い訳と好意的に解釈しておこう。

 主人公は陸遜、キーアイテムの1つは「玉璽」だ、「究極のエネルギー体」であるという。陸家は代々玉璽を守る宿命にあるという。…皇帝の権威の象徴もこうなっては形無しだ。
 呉のキャラクターがメインとなる設定は、一瞬目新しく思うかも知れないが、朝香祥という先駆がいるので、別にどうってことはない。

 主人公の師が諸葛亮という設定だが、…さてここで問題です。史実における諸葛亮と陸遜の年齢差は?
 答えは、…せっかくだから最後まで取っておこう。師弟になるほどの年齢差ではないような気がするが、…気のせいか?

 凌統という、『三国志』シリーズでは端物のキャラが、脇を固めていることに多少の驚きこそあれ、出てくるのがほとんど武官では、戦記物にありがちな「内政要素まるで無し」な世界が展開されるんだろうなと予想できてしまうので、期待値はそれほど高くない。
 実際、内政シーンがない故に、文官が冷血キャラか道化にしかなりようがない。「国」とか「即位式」とかいう馬鹿概念には目をつぶるとしても、文官が端役にもなれないストーリー構成は前時代的じゃないか。
 加えて戦争の描き方がボロボロで、孫子さまの「被害少なくとっとと終わらせろ」も忘却の彼方だ。「戦とは殺し合うもの」あるいは「殺し合いが無ければ戦争じゃない」という概念は、現代思想の表れでしかないし、兵士たちの残虐さも、「旧日本軍の侵略」イメージを引きずりすぎな感じがする。同じ日本でも、戦国時代の戦争イメージを思い浮かべていれば変わりそうなものなのに。

 孫権の声を当てているのが生天目さんという(こともあり、女性の如き孫権ができあがっている)のは、(それでも「一騎当千」のインパクトには劣るから)どうでもよい話だが、孫権が陸家の菩提寺に参拝するというのは、時代考証も何もないと言わざるを得ない、あまりにも日本的だ。まあ「当時の」仏教について、考証が比較的しっかりしている三国志ものは、陳舜臣の『秘本三国志』くらいなので、これは仕方ないことかも知れないが。できれば、墓参りのシーンを入れるのは止めてもらいたかった、無知ぶりをさらけ出すことになるからだ。

 凌統の父凌操が死ぬシーンがあるのだが、三國志のプロット通り甘寧に射殺されている。「黄祖に邪険にされる甘寧」にしても、こういうとこだけ忠実なのには参ってしまう(蘇飛はどこ行った、これから登場するのか?)。
 それと、その場面では、凌操が凌統と会話するのだが、我が子を「凌統」と繰り返し呼ぶのは止めて欲しかった。我が子をフルネームで呼ぶなんて、何ともあり得ない話じゃないか。
 それと、史書で字のない人にも字を付けているが、凌操の字が「公訣」ってのは、何とも日本的感覚だ。子の凌統の字は史書通り「公績」だから、中華世界ではあり得ない話だ。共通の文字を使うのは、兄弟で揃えている例を見るに止まる。当時はもちろん(馬氏の五常、司馬の八達)、20世紀でも(周樹人、周作人、周建人)。

 …そう言えば、チラッとだけれども、凄まじい劉備を見た気がするな…。

 こうなってみると、…別に鋼鉄「三国志」でなくても良かったのではないかってことだ。中華世界が好きなのなら、「鋼鉄水滸伝」とか「鋼鉄西遊記」なんてのでも良さそうなものだ。「鋼鉄項劉記」なんてのがあったら、見てみたい気もする。もっと視野を広げて「鋼鉄チンギス・ハーン」なんていかにも強そうだし、「鋼鉄信長の野望」なんてあったら受けが狙えそうだ(KOEIとコラボしてくれ)。

 プロットだけ流用すると、破綻するのが世の常である。今後どこまで壊れてくれるか楽しみだ。思い入れが深ければ深いほど、破綻したときの壊れっぷりも凄くなるからな。…ところで、何回ものだったっけ? 『三国志』らしく、中華世界の講談の如き回数を設定してもらいたいものだね。

 結論としては、「鋼鉄三国志」の見所は「どこまで壊れてくれるか」ということになる。かの『馬超風雲録』の壊れっぷりにどこまで迫れるか、最終回まで見れば分かるのか?



 問題の答え:二歳、諸葛亮が181年生まれ(献帝と同年)、陸遜が183年生まれ。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
一字一句、完全に同意です。
「夢見がちなチョイオタ女子中学生が無双と三国志大戦にハマった影響そのままに鼻の穴フガフガいわせながらファンサイト系BBSに殴り書いた(勿論途中で頓挫するが)ストーリーを完全に本気で商売にしてみた」
というのが個人的な鋼鉄三国志の印象です。
げそ
2007/07/26 17:26
>げそ 様
 コメントありがとうございます。
 …チョイオタ女子中学生が殴り書く程度のストーリーとなると、原案者「鋼鉄三国志制作委員会」の名が泣く感じがしますね。
 「らき☆すた」の場合、「角川−ランティス−京アニ」というハルヒラインの抱える問題点(原作を活かしきれていない)が私にとって不満の種なのですが、「鋼鉄三国志」になると、原作(連載中の漫画らしい)からしてよく分からない訳で(もはや不満の種が何かすらわからなくなってきている状態)、それでも一応商売として成り立つのが今の日本アニメ文化の限界(もしくは寛容さ)かなと思いますね。
Eric Prost
2007/07/28 23:17

コメントする help

ニックネーム
本 文
「鋼鉄三国志」の話 Eric Prog/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる