Eric Prog

アクセスカウンタ

zoom RSS 「読むに足りぬ」雑誌

<<   作成日時 : 2006/11/18 13:29   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

 読むに足らぬ雑誌というものが氾濫しているこの御時世,如何にして自誌が「読むに足りるもの」かをアピールしてゆく必要があるのでしょう。「取材力」、「情報の速さ」、「正確な分析」など各誌がアピールする点は色々あります,…適切なアピールかどうかは別として。

 その中で「定期購読者が支える雑誌」と「臆面もなく言ってのける」雑誌があります(分かる人には分かりますね。『週刊金曜日』のことです)。なぜ「臆面もなく」なのかといえば,私のような「不定期購読者」は「定期購読者より多くお金を払い(割引なし),定期購読者よりも面倒な形で(書店まで行って)買っている」のに,その雑誌を支える人の中に入っていないことになるからです。
 (…だったら,書店売りなどしなければよいのだ!)

 さて,この雑誌はその傲慢さもさることながら,偏向性も指摘されています。まあ編集委員の中に「権力」が分かっていない佐高信(power relationshipの中で見れば,この人は明らかに「強者」側:「私は権力者ではない」と口癖のように言っているけれども)やTBSを批判しておきながら臆面もなく番組を持ち続ける筑紫哲也(そういう人間を批判しているのではないのかね,この雑誌は)とかが名を連ねているのですから,期待するだけ無駄というものですが。


 さて,この雑誌の2006年11月17日号はその中でも「最悪」の部類に入るものでしょう。いくつか悪い典型例を挙げるなら,「吉田有里の政治時評」(p.11)、「メディア・ウォッチング」(p.15)、「北海道の郵政地獄」(pp.50-52)。


 「政治時評」は見るべきポイントがずれています。野党の役割は「悪法を廃案にすること」ではありません。現在の,「数の論理」のみで押し通そうとする,与党に「政治人として最低限の倫理」があるはずないけれども,それを迎え撃つべき野党のがこのような認識では日本の政治が好転するはずがないのです。
 最終段落のこの表現は笑えてしまう。「真の野党として闘う姿勢の後ろにこそ、人々の信頼と支持はついてくるのだ」,…ほ〜,実際そうでしたかねえ? 「真の野党」として戦ったはずの社共が現在凋落しているのはどういうことでしょう,つまりは「真の野党」たり得ていないわけですね。
 まあ今の与党の政治家のほとんどは,カントすら超えることが出来ていないのです。「啓蒙」されていないのです。責められるべきなのは分かります。しかし,野党の政治家もほとんどは「啓蒙」されていないと言わざるを得ません。
 「啓蒙」されている以上,言えるのはこのようなことです。「好きなだけそして何に関しても議論せよ。しかし服従せよ!」(岩波『カント全集』第14巻 p.27)
 与党はおざなりな議論をして「服従せよ!」と言います。野党は「好きなだけ議論」できなければ服従しません(社共は「要求が通るまで議論」しなければ服従しないでしょうか)。そして与野党に共通しているのは,「何に関しても」は議論しない,すなわち「自分たちにとって都合の悪いこと」は議論しないわけです。…これでは政治が上手く機能するはずがないのです。「同じ穴のムジナ」が与党と野党に別れて言い合いをしているだけなのですから。その意味でこの記事の著者(国会議員秘書)の言うことなど聞く耳持たれるはずがないのです。
 ちなみに,今問題となっている「『核武装』議論」の議論,これは,非核三原則の堅持を前提とする以上,「好きなだけ議論」できない(結論として「核武装」があり得ない)ので,あまり意味がないのです。そんな暇があったら,他に議論するべき事は山ほどあるでしょう,教育基本法改正案、タウンミーティングでのやらせ問題、年金改革や医療改革の検証などたっぷりと。


 「メディア・ウォッチング」も「啓蒙」されていない典型例,新連載の割に最初からひどいものを持ってきたものです。言いたいことは「(記事を書く人が)大きく取り上げるべき(と思い込んでいる)事柄を,小さくしか取り上げない全国紙は見識がない」ということだけです。
 そもそも,あらゆるメディアが「構成されるもの」である以上,そこにはある種の傾向(bias)がかかるので,真に「公正中立」が成り立っていると考えること自体無理で,新聞に「完全なる公共性」などあるはずがないのです(それを逆手に取ることも許されないけれども)。
 その上でこの文章を読むと,この文章自体に「中立性」がないのは明らかなのです。自分の中立性を棚上げにしておきながら,他人ばかり責めるのはやはり不当でしょう。「議論せよ」と言っているように見えますが,実際には「議論せずに私の必要とする情報を流せ(従え)」と言っているに過ぎないのです。


 「北海道の郵政地獄」(表紙に書かれている売り文句,題は「効率化施策の失敗で現場力喪失」)に至っては,「本当に郵政職員だった人が書いたのか」と思いたくなるほど…とまではいかないまでも,ひどいものです。
 まあ,郵政公社が導入している「トヨタ方式」が非常に質の低い(トヨタとは似ても似付かない)ものですから,多少批判的なものを書けばそれなりに「読めるもの」にはなりますが,…それだけ。今までの郵政がはらんでいた問題点にメスを入れないままに郵政公社以降を批判すると,それは単なる回帰思考にしかならないということをよく示す文章です。
 確かに現在の郵政公社の方針は全く褒められたものではありません。大量投入した非常勤職員(アルバイト)によって現場がかき乱されていますが,それは非常勤職員を教育できていないからです。現場の職員がきっちりと教育しないと,育たず使い物にならないのです。現場の職員に育成能力がない場合も多く,育成能力を高められるような施策も求められるでしょう。とにかく,非常勤の投入そのものが問題なのかどうかは,育成能力の低さを考えると,現状を見て結論を出せるものではありません。
 そして,ベテラン局員の言葉として挙げられた言葉が旧郵政の悪癖を物語っています。
「配達は公社が言うように簡単にできるものでない。長年培われた経験、仕事のカンやコツ、これらが身体にたたきまれ(原文のまま)、どうすれば効率良く配達できるか頭に浮かぶんだ。机上のマニュアルにもとづいて仕事をすればいいというものではない」(p.52)
 公社が目指す「机上のマニュアル」は本来そのような「経験」がなくても作業できるようにするためのもので,「長年の経験」を否定するために作られるものではないのです。その視点が抜け落ちている現在の公社の方針は否定されるべきものですが,公社の方針を否定するためなら,どのような意見でも持ち出して良いというものではありません。「長年の経験」を盾に若い非常勤の提案に取り合わなかった「ベテラン局員」が効率化に寄与しているとは到底思えませんがね。
 それにしても「大阪・伊丹郵便局」ってどこでしょうかね? 大阪府内にある「伊丹」と名の付く郵便局は検索で出てくる限り「豊中郵便局伊丹空港内分室」だけですけれどもね。…基礎知識すらあやふやでは,記事の信頼性が損なわれるのはやむを得ないでしょうね。


 この号の「投書」欄に至っては,崩壊状態の投書が多すぎます。
・「真の愛国心教育とは憲法を愛する教育」→憲法改正には絶対反対する人たちが「憲法を愛する」とは聞いてあきれます。守りたいのは現在憲法に書いてある「平和主義」などの概念でしょうが。「憲法」と「平和主義」は無条件に結びつけられているものではありません。
・「天皇は公務員である」と言ってのけるその根拠は? どこに「天皇は公務員」と書いてあるのですか? 公務員は「国民(→すなわちその委任を受ける公共団体)の任命」によるものですから,「国民の総意に基づく」天皇は「公務員」とは定義されません。完全なる誤解(あるいは曲解)でしょう。
・「タバコ自販機の廃止」が「未来を担う子どもたちの健康を考える真摯な姿勢」というのは,前段の「いじめ被害者に問いかける倫理の崩壊」とセットで考えるといかにアホらしいか分かります。「いじめる側に問いかけよ」(いじめは悪いことだから)なら「タバコを買う側に問いかけよ」(未成年者の喫煙は悪いことだから)という考え方も出てくるでしょう。「タバコの誘惑」一つ抑えられない愚かな未成年者(法を犯している)に問いかけず,タバコを売る側だけに問いかける。タバコを売る側にも責任があるとしても,吸う未成年者の側に罪無しな訳がありません。これも小谷野敦などの主張する「禁煙ファシズム」の流れの1つでしかありません。「自販機改造で一部業者が潤うだけ」と言いますが,タバコを売る側にタバコを売らせないような方策を立てさせているのですから,当たり前です。


 まあ,そもそも私がこれだけ左系を叩くのは,左系が頑張らないと今の右系の暴走を止められないからです。右系が暴走しているのは左系からすると,単に正論を述べるだけで右系の欺瞞が暴かれるので,非常な好機です。しかし,左系の議論も,自分たちの主張を押し通そうとする点では「単なる暴走」に過ぎず,到底読めたものではないのです。結局のところ現在の状況は「醜い闘争」であり,何ら生産的なものではないのです。私の不満はそこにあります。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
RSS便り3/「Eric Prog」
 ブログ名    Eric Prog  自己紹介     外見は温厚そうに見える(らしい)が,実際は瞬間湯沸かし器! 機嫌を損ねるとハリセンが飛びます(笑) ...続きを見る
山路 独/未来へのヒント(私が在た証)
2009/07/29 20:57

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
「読むに足りぬ」雑誌 Eric Prog/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる