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zoom RSS 「国際英語」小考

<<   作成日時 : 2006/08/07 00:41   >>

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 「国際英語」,何とも「良さげ」な響きがする言葉ですが,チャイナ・スクール(外務省とは何ら関係がない)にいると言われている私は,「国際英語」というものに関する議論にあまり関心がありませんでした。

 しかし,先日の授業で「国際英語」を研究テーマにしているという後輩が炎上した(研究テーマだけでM1が教授とD3から論戦をかけられて炎上するという姿は,ややかわいそうなものがありましたが)ので,「国際英語」についてちょっと考えてみました。

 まず,「英語は国際語」という観点から考えてみましょう。確かに,現在英語は世界各地,国語・公用語としない地域でも,通じる可能性の最も高い言語でしょう。それを「国際語」というなら,それは否定できません。もちろん,それは英語に関する様々な意見に根拠を与えるものではありません(「国際語」だから云々は根拠希薄ということです)。

 しかし,「国際英語」となるとどうでしょう。…そもそも「国際英語」とは何でしょうか。今のところ,はっきりとした定義付けはなされていないように思います。
 「英語」と聞いた段階で思い浮かぶのは「アメリカ英語」や「イギリス英語」なわけですが,英語を母語とする人はアメリカ,イギリス以外にも多数いるわけで,その人たちの話している英語(アメリカ英語ともイギリス英語とも違うもの)は「英語」ではないのかと言うことが問題視されたことが,「国際英語」の背景にあるようです。
 そこで,アメリカやイギリスだけでなく,他の地域も含めた「国際的」な英語を構築していこうというのがこの考え方の根底にあると言うことなのですが…。

 「国際英語」の問題点はまさしくここにあるのです。「国際英語」というものが果たして可能かと言うことが問題なのです。「国際英語」を作り出す方法にはいくつか種類があると思われます。
 その中でも代表的なものは,何か基準となる方言を決め,それを基に「標準語」を作り出すという方法。これは中国語の「普通話」や日本語の「国語(標準語・共通語)」に見られるようなものです。この考え方の特徴は,基準となる言語が存在するために,「標準語」が文化的背景を持ち,同じ文化的背景を持つ人々には比較的受け入れられやすいということです。しかし,この方法は,文化的背景を異にする人たちに対しては文化侵略的な側面を持つために,現在の英語のような世界レベルの言語には適用しにくいでしょう。

 特定の方言を用いることが文化侵略につながるという批判に対して,いっそのこと新しく言語を作りだしてしまえばよいと言う考え方も登場します。数ある中で,比較的成功を収めたものにエスペラントがあります。
 ただ,「世界語」と呼ばれたエスペラントは,「人工語」なので基底の文化がない(故に言語としての発展性に乏しい)という問題があるという見解があります。そのためエスペラントは広まっていないとも言われます。私はこの考え方に大筋で賛同しますが,やや異なります。
 確かにエスペラントは「人工語」で,特定の基底文化を持たないのですが,それはエスペラントの「売り」の1つです。誰も母語にする人がいないので,誰にとっても「平等」と言うことです。特定の言語を世界共通にすることは,その言語を母語とする人に有利で,それ自体が既に「格差」を生んでいるという問題意識がエスペラント推進者にはあります。
 しかし,よく知られているように,エスペラントもロマンス,ゲルマン,スラブの諸語から語彙を選択していることから,これらの諸語が基礎になっていると言えます。と言うことは,エスペラントは欧州系の言語に基礎を置く言語ということになるのです。それゆえ,エスペラントの世界においても,誰も母語にしている人がいないという「平等性」を強調する割には,欧州系の言語を知っている人がやはり有利なのです(語尾およびその活用によって言葉に意味を与える方式は,欧州系の特徴)。
 さて,エスペラントが広まった理由としては,以下のものが考えられるでしょう。
  1.欧州系の言語の特徴を残している
  2.よって欧州文化を基底文化とする
  3.造語法が存在する
  4.母語とする人がいないという点が,母語とする人が少ないラテン語と似ている
 実は,この4点が,エスペラントの「平等性」を失わせているのです。つまり,広まる要因を持っているからこそ,エスペラントも特定の人に有利な言語だと言うことになるのです。

 ここから考えると,「誰にとっても平等な言語」というものは,人工的にすら作り出せないということになるのではないでしょうか。現在地球上にある全ての言語を分析して,その体系から全く自由な言語を人工的に作り出すことによって,理論的には可能なのでしょうが,そのような言語を誰が覚えるかというのは大問題です。

 さて,その中で,「国際英語」をいかにして構築していこうというのか,研究者の腕の見せ所でしょう。

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